私たちは仰々しい言葉をたくさん並べるけれど、それにふさわしい行動は全くしていないのです。
聖剣事件も終わってようやく日常に戻った。家から学校に通って、放課後は悪魔のお仕事、帰りにゼオンの屋台によってから家に帰る。ちょっと前まではゼオンの別荘から学校に通って、放課後は鬼のような修行、終わったら部長たちが言っていたように本当に甘やかしてくれて、就寝。と言った感じで途中から色んな意味で心が休まる暇がなかった。
藍華に言ったら殴られた。それはもう思いっきり。ほぼ据え膳状態で何をヘタレてるのかって。ヘタレじゃないもん。まさか私にここまで高性能な乙女回路が搭載されてたなんて知らなかったんだもん。完全に振り回されてて自分でもどうしようもないんだってばぁ~。
「はいはい。ところで、その件の男の人ってあれじゃないの?」
藍華に言われて振り向くと、保護者に紛れて白いスーツ姿のゼオンが廊下からこっちを見ていた。私が気づいたことに気づいたようで手を振っている。瞬間的に顔が真っ赤になったと理解できる。今日は授業参観だけど、なんでここにいるの!?まさか、さっきの粘土細工を見られた!?とりあえずアーシア、時間稼いできて。
「はぁ~、本当にイケメンね。あれに天然でおでこ同士を合わせる熱の測り方をされたり、お姫様抱っこをされたり、色々とお世話されたと。羨ましいを通り越して殺したくなるわね」
「いや、まあ、私も当事者じゃなかったらそう思うけど、色々と複雑な理由が重なりすぎまして、ええっと、普通じゃすまないんで、助けて下さい、お願いします」
「普通じゃすまないのに、普通の私に頼ってどうするのよ。ほら、とりあえずは挨拶に行くわよ。実際に話しながらフォローは入れてあげるから。あのアーシアが普通に接することができる時点で凄いわね。とりあえず、知っておかないとやばいのは?」
「すごいお金持ち、部長の婚約者、部長公認の押しかけ愛人多数」
「えっ、なにそれ?」
「そこがその色々と複雑な理由でして。そこを詳しく聞けてないの」
「むしろそこを知っとかないと行動するのが難しいでしょうが」
「部長含めて周りの子からは正面からのストレートをオススメされてます」
「ならストレートに行きなさいよ。ってヘタレには無理か」
「乙女回路レベル1で色々ありすぎて一杯一杯です」
「天然って恐ろしいわね」
「天然じゃない部分もスペックが高すぎて恐ろしいの」
「お金持ちってどのレベル?」
「ええっと、確かホテルの経営に映画とかドラマの撮影に使うセットを作る会社にテレビ局も持ってたっけ、他にも観光業の会社にカジノと酒造と牧場と競馬場もあったはず。最近はIT系に進出するために人を集めてるって言ってたっけ。それから孤児院も結構な数を持ってて、ボランティア団体も運営してた。あとは、食品加工の会社もやってて、趣味で屋台を引いて、この前レシピ本が出版されたっけ。他にも」
「ああ、もう、ぶっちゃけ年収は?」
「1兆ドルは行ってないとか聞いた気が」
「……えっ、それって親のを継いでよね?」
「えっと、多少は分けてもらってたみたいだけど、自分で事業を大きく拡大させて、親から継いだ分も相応の値段で買い取ったとか」
「叩き上げ一代で年収1兆ドル近くであのルックス。若作りじゃないわよね」
「確か、部長の8歳年上だから25か26歳」
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