ハーメルン
【完結】まちカドまぞく/陽夏木ミカン攻略RTA
杏里エンド/日常風景


「……ねえ、楓」
「なんだ?」

 きゅっ、と手を握り、出来る限り強く、強くその手を掴む。

「あっ……ごめん、なんか……なんだか、さ。楓が、どっか行っちゃう気がして」
「なんで恋人を置いてどこかに行かなきゃならないんだ……。まあでも、こう幸せが続くと不安感を覚えるものだよな。分かるよ」

 手をほどいて、握られていたその手を杏里の腰に回して自分の方にぐっと寄せる。

「どこにも行かないよ。
 大丈夫、俺は……杏里やシャミ子、桃にミカン、良ちゃんや清子さん、それにリコと店長の居るこの町角に、ずっと居るから」
「……うん。そっか」

 そう言い終えて、肩を寄せ合いツリーを見上げる。幼い頃からの隣人が恋人となり、きっと、この先何十年と隣を歩むのだろう。
 どこか老成した雰囲気の、どことなく枯れている青年は、いつまでもこの町で幼馴染や友人と共に歳を重ねて行くのだろう。

「ね、楓」
「うん?」
「今……幸せ?」
「──そうだな……」

 少し考える素振りを見せて、楓は目尻を緩めながら杏里を見ると言った。

「これ以上ないくらい、かな」
「──ぇへ、そっかぁ」

 楓の黒に紫と藍色が混ざった、星の無い宇宙のような瞳が杏里を映す。
 聖なる夜、二人は幸福を確かめ合った。どんなことがあっても揺らがないだろうという、小さくも確かな確信を得ながら。

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