ハーメルン
【完結】まちカドまぞく/陽夏木ミカン攻略RTA
ハミ出せ!まちカドまぞく ~企業戦略(バレンタイン)編~


「まあ、それは桃が悪いよ」


 ──『絶対言うと思った』とは、口が裂けても言えない。苦い思いをする者も居るのだから、バレンタインとは趣があるな──と、楓は自分の部屋でシャミ子を胡座をかいた足の間に入れて慰めながら、内心でそんな事を考えていた。

「……ミカンと杏里から貰ったチョコ、よかったら食べるか?」

 こくりと無言で頷くシャミ子の口に、つまんだチョコを放り込む。
 桃のロマンの無さに対する苛立ちと、酷い態度のまま帰って来た事への後悔から、楓に甘えるようにもたれ掛かる。

「明日、ちゃんと桃に謝れる?」
「……はい」
「桃だって言い方が悪かったって思ってるはずだし、許してあげような」

 またも頷くシャミ子。楓は小さく笑ってから、再度口にチョコを入れる。

 顎の下に頭がある低身長と背中を向けて座るせいで顔は見えないが、纏う空気からもう機嫌が悪くなることは無いだろうと考えた。

「──あ、そうでした。楓くん、これを受け取ってください」

「珍しいな。シャミ子が手作りなんて」

「今までは金銭的にもそんな余裕がありませんでしたから。なのでこれが初バレンタインです」

 傍らの鞄から、シャミ子は初めてやったのだろうぐちゃぐちゃのラッピングがされた箱を取り出す。

「ありがとう、嬉しいよ」
「……本当は桃の分もあるんですよ」
「なら、後で渡しに行ったら?」
「──そうですね。でも今は、もう少しこのままでいいですか?」

 貰った箱をちゃぶ台に置いて、横向きに座り直したシャミ子を抱き締める。

 くすぐったそうにしながらも、シャミ子は楓の胸元に頬擦りする。角がめり込んで痛そうにするが、楓はいつものように我慢していた。

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