BATTLE.9 武神の憂鬱
「はあ・・・・・・」
兼一が川神市に来て数日が経過した。闇の狩人は現れず、平和な毎日だった。
だが、兼一にはある悩みを抱えていた。
現在の時刻、朝の4時誰もが寝ているであろう時間に兼一は起きていた。
「いつもなら修行の時間なんだけど場所がな~・・・・・・」
梁山泊にいた頃は修行を開始している時間。しかし、修行ができる場所がなかった。
走ったり、筋トレなどはなんとか出来るかもしれないが技の鍛錬が出来ない。下手に行えば誰かに見られて噂になってしまう可能性は高い。
兼一は自分の修行内容が普通ではないことは自覚している。だからこそ人に見られてしまうのは面倒であった。
何故知られたら困るのか。それは川神学園に入ってすぐ分かったことだが、ここの生徒たちは噂話に敏感であった。そこから尾ひれはびれがついてしまうことも理解する。
そんな噂話が百代の耳に入ったら間違いなく興味を示す。それだけは避けたいと兼一は思ったのだ。
少し考え過ぎかとも思ったが兼一の知り合いで噂に真っ赤な嘘を付けたして人を追い詰める地球外生命体がいるため油断は出来ない
「どうしたものか・・・・・・」
悩む兼一はあることを思い出した。
昨日、梁山泊から送られてきた荷物である。一緒にあった手紙には困ったときに使いなさい、との一文だけ。
まだ荷物を空けていない。もしかしたら何かしら役に立つかもしれない。
そう思った兼一は荷物空ける
「こ、これは・・・・・・!?」
「あっ!け、兼一さん、おはようございます」
「・・・・・・おはよう、まゆっち」
「?どうしましたか、け、兼一さん。元気がないようですが?」
『白浜っち。朝からそんなんじゃ良い事起きねえぞ!」
朝から元気のない兼一に声をかける由紀江
「いや、師匠達は悩む僕を見て楽しんでるんじゃないかと思ってね・・・」
「は、はあ?け、兼一さん今日はお暇ですか?」
「ん?暇だけど・・・ってそれよりもまゆっち。まだ僕の名前を呼ぶ時ぎこちないね?」
「あうっ!」
兼一とまゆっちは名前で呼び合う仲となったはいいが、まゆっちは未だに兼一の名前を言う時どこかぎこちないのだ
「大和君や翔一君を呼ぶ時は普通なのになんでなんだろう?」
「わ、私にもよく・・・・・・」
「おおーい、まゆっち。そろそろ時間だぞー。って、兼一さんじゃないっすか、おはようございます」
2人が話していると入ってきた青年が兼一に挨拶する。
この青年は『直江大和』。由紀江が入っている風間ファミリーで参謀役を担っている。『軍師』と言うあだ名通りかなりのキレ者である。
由紀江に紹介してもらった時、地球外生命体みたいに失礼な奴じゃなくてほっとした兼一
「大和君、おはよう。時間ってなにかあるの?」
「あれ?まゆっちから聞いてませんか?」
「す、すみません。今、話そうとしていたのですが・・・・・・」
「そうなんだ。んじゃ、ついでに説明しときますか。俺達これから姉さんの試合を観に行くんですが兼一さんもどうですか?」
大和の言う『姉さん』とは百代のことである。姉弟なのかと聞いたら舎弟らしく大和はあまり気にしていなそうだ
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