戦姫絶唱するまえシンフォギア 幕間の物語その1
その1『脅威の生体メカ バトルホッパー』
爆音のごときエンジン音が響きわたり、エキゾーストが金切り声を上げる。
力強く大地を噛みしめるタイヤは高速で回転し、そして産まれ来る速度はまさに風のごとく。
灰と茶のボディに緑の眼を持つそのバイクこそ、仮面ライダーSHADOWの相棒とも言える生きるマシン『バトルホッパー』だ。
そしてそれに跨るのは当然……。
「ひゃっほぅぅぅぅぅ!! サイッコーだぁぁぁぁ!!」
シンフォギアを纏った風鳴翼が、ちょっと人には見せちゃいけない系の顔をしながら走っていた。
それを遠くから見つめる人影が3つ。天羽奏に立花響、そして俺の3人だ。
「……なんだあのファンの方々には絶対に見せちゃいけない顔をしたアイドルは?
ここにファンがいたら絶対に百年の恋も冷めるぞ」
「ノブくん、私もツヴァイウィングのファンなんだけど……」
「大丈夫、明日からはツヴァイウィングの奏のファンだって言えばいいだけだ」
「あっ、そっか!」
「2人とも、何気に酷いこと言ってるね!」
さすがに奏がツッコむが、俺は爆走する風鳴翼を指さす。
「いや、だってあれは完全にアヘ顔っていうかアホ顔というか……」
「ファンの私でもちょっとこれの擁護は……」
「……」
相方として何かフォローをと思う奏だが、何も言葉が出ないようで途中で諦める。
「あひゃははははははは!!!」
3人の視線の先では風鳴翼が爆走しながら爆笑していた。風鳴翼が楽しそうで何よりです。
何が起こったのか……それは今から数日前のこと。
「月影、この通り伏して頼む!!」
「おいおい……」
ここは二課の食堂だ。
新しい学校生活にも慣れはじめたこの日、俺と響はいつものように弦十郎に修行をつけてもらっていた。それも終わってシャワーで汗も流し、ちょっと家に帰る前に一服しようかと食堂に足を運んだところを翼に見つかり、今の状態になる。
今にも土下座でもしそうな勢いで翼が俺に頭を下げるその理由は……。
「バトルホッパーに乗せてくれ!!」
というものだった。
聞けば翼は大のバイク好きでずっとバトルホッパーに興味があったらしく、どうしても乗ってみたいというのだ。
俺は気持ちは分からなくもないものの、はいそうですかとはすぐに頷けない。バトルホッパーは俺にとって相棒だ、軽々しく貸すような真似はできないし、何より形状が特異すぎて乗り回せば目立ってしょうがない。
そう思って断ろうとしたのだが……。
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