其の十七 スリとイタズラ!?の巻
「へへ、良いのが買えたな〜」
臨海修行から帰った俺は街へ買い物に来ていた。目当てのものも買えてご機嫌な気分である。
「ここんとこいろんなことがあったからな…」
ガリュー率いる蛇邪学園の悪忍集団、スカルたちの幹部ロードスカル、そのロードスカルを統べる陛下と呼ばれる男、
「新しい力を手にしたとはいえ…油断はできないしな、もっと強くなって皆を守れるようにならないっ…と」
考え事をしていたら誰かにぶつかってしまった。
「おっとごめんよ!!」
ふと見るとボロボロの服を着て帽子を深々とかぶった10歳くらいの少年が俺に謝りながら走り去っていった。
「いけないいけない、気をつけないと…あれ?」
ふとあることに気づく、胸ポケットの違和感に…
「まさか!?」
「ちぇっ、思ってたより入ってないな…」
路地裏で少年は先程竜司からすった財布の中身を見ていた。
「これじゃあ今日の飯代くらいにしかならないじゃん。しゃーねぇ、次のカモを見つけるか」
「誰がカモだって?」
ふと声が聞こえて少年が振り向くとニッコリと笑った竜司が立っていた。
「げっ…お、おまえは…」
「この……コソ泥がぁぁぁぁぁ!!」
「相手が悪かったな。俺から財布をスろうなんて百万年早い」
俺はスリの少年に説教をしていた。少年の頭にはさっき俺がくらわせた拳骨によって大きなコブができていた。
「これに懲りたらもうスリなんてやめろよ?相手が俺だったから拳骨で済んだけど悪いやつだったらもっと酷い目に遭わされてたかもしんないんだぞ?」
「うるせえな…財布は返したんだしもういいだろ?」
「反省の色がないな、やっぱ交番に行くか」
そう言って俺は少年を交番へ連れて行こうとする。
「待ってください兄貴ィィィィ!!俺、どうしても金を集めなきゃいけない理由があるんですぅぅぅぅぅ!!」
少年は涙目になりながら話し出した。
「俺…光(ひかり)って言うんだけど…お母さんが病気なんだ…」
「なっ!?」
「お母さん…体弱いのに俺を養うために無茶して…でもとうとう体を壊しちゃって今は寝込んでるんだ…」
その目に涙を浮かばせながら光は言葉を続ける。
「お母さんの為にもお金が必要なんだよ!!だから…ううっ」
とうとう泣き出してしまった光を見ながら俺は財布からお金を出す。
「ほら、これでお母さんに栄養のあるもんでも食わせてやれ」
「えっ…?」
「だからもうスリなんてやめろよな。お母さんを安心させてやれ」
そう言って俺は光にお金を握らせると立ち去ることにした。
「へへっ…ありがとう兄ちゃん!!」
光は嬉しそうに笑い走り去っていった。
「さてお前たち、今日は上から任務が来た。」
翌日、霧夜先生が俺たちに学院外での任務を伝えた。
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