ハーメルン
やはり伝説の餓狼達が俺の師匠なのは間違っているだろうか。
高校生活を振り返って その4
由比ヶ浜と一色とこれから先、一色の総武高校受験の為の勉強を三人で行うと約束を交わして訳なんだが。
先ず俺は、それに先立ち当初の目標であるバイト探しをしなければならない。
取り敢えずバイト面接時に必要で有ろう履歴書は10枚程書き上げている。
バイト先の候補としては、手っ取り早く実入りの良い力仕事関係を狙って居るんだが、その方面の仕事は学校上がりの放課後から入れる所は少ないだろう。
そうなると、メジャーな所でコンビニとか外食産業になりそうだが、そちらは接客とかあるしな、俺の自他共に認める眼つきの悪さでは、お客さんに対して印象を悪くするだろう…イヤそもそも面接で落とされるのがオチか。
しょうが無い、取り敢えずは情報収集からだな。
こういう時つくづく、ネット環境の整った現代社会は有り難い。
親父や母ちゃんが学生だった頃は、まだ今程ネット環境が整って無かった為、バイト探しは紙媒体がメインだったそうな。
俺がバイト探してると親父と母ちゃんに伝えたとき、親父ときたらイキナリ歌い出したからな。
『火ぁ火、金金、火ぁ金金♪…』
何でも昔のバイト情報紙のテレビCMソングらしい、やべぇなんか妙に耳に残ってんだけど。
「ああ八幡、あんた今週の土曜日は家に居なさい。」
母ちゃんはバイトの話を切り上げたかと思うと、急にそう告げた。
「…いや、まぁ別にこれと言って出掛けるような用事は無いんだが、何で?何かあんの?」
基本俺はインドア派だから、普段からトレーニング以外はあまり外出する方では無いんだが、その事は母ちゃんも知ってる筈だよな、何で念押しみたいに言うんだ。
「あれよ、入学式の日の雪ノ下さんが家に来るのよ、直接挨拶がしたいんだってさ、まあ向こうさんは県議会議員に会社経営者だからね、中々時間が作れなかったらしくてね、遅くなって申し訳ありませんだって。」
「マジかよ、何か申し訳無いのは俺の方なんだがなぁ…。」
「まあ、あんたからするとそうなんだろうね、何せ車をぶっ壊してんだからね。」
うっ、事実とは言え、面と向かって言われるとやっぱり痛たまれない…。
あんな高級車だ修理費もとんでも無い額になるだろう…。
先方さんは気にしなくて良いとは言ってくれたけどな、ハイそうですかとは簡単には言えないだろう、普通。
「…そうなんだよなぁ、マジで都筑さんにも申し訳なくてな、あれだ穴があったら入りたいって気分だな。」
「何かさお兄ちゃんってその都筑さんって人の事、すっごい評価してるって言うかさ尊敬してるみたいだよね。」
そうだな、小町の言う通りだ俺は都筑さんに対して尊敬の念を抱いている、事故の時に相対したて感じた都筑さんの為人や仕事に取り組む際のプロフェッショナル感が、俺には格好良く感じられたんだよな。
「おう!都筑さんはな出来る男感がハンパないし、人柄も良いからな、男が惚れる男ってのはああ言う人だろうな。」
「テリー兄ちゃん達とはまた違った魅力ある大人の男だな。」
ふうんそなんだ、と向こうから振っておきながら既に興味を無くしました、みたいな感じで小町の奴はこの話を切り上げやがった。
この辺の感覚はやはり現代っ子とでも言うのか、全く近頃の若いモンはなっとらん!俺の中の老害爺が愚痴っていらっしゃる。
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