5.別れ
ラース「な!!?駄目だ!お前は俺のライバルだろうが!こんな所で死ぬんじゃねえよ!」
ラースはギルグードに向かい怒鳴るように話す
ギルグード「はは.....まだ俺を.....ライバルだと思っていてくれたんだな。だが俺は........あいつら相手に手も足も出なかった。お前のライバル.......失格だな」
ギルグードは時折痛みに耐えるようにしながらボソボソと話している
口からも血が流れ、顔は既に白くなり目も虚ろになってきている
セーニャ「あまり喋ると内臓に響いてしまいます。どうかお静かにお願いします」
セーニャは真剣な表情で会話をしないようにお願いする
ラース「すまない....ギルグード、手を握っていてやる。大丈夫だからな」
ラースはまだほんのりと温かいギルグードの手をそっと握った
ロウ「.....ふむぅ....」
ロウとセーニャは真剣な表情で、顔からはかなりの汗が出ている
シルビア「ロウちゃん!セーニャちゃん!凄い汗よ!大丈夫なの?」
ベロニカ「ここまで酷い怪我だと、相当な集中をかけないと駄目なのよ。それでもこの怪我だと......いくら回復魔法でも.....」
しかし怪我は治らず、ロウとセーニャは顔を見合わせて首を振ると回復魔法を使うのをやめた
ロウ「出血が止まらん。すまぬが、わしらにできる事はここまでのようじゃ」
ラース「!!!!」
ラースはその言葉に酷いショックを受けていた
ギルグード「じいさん、姉ちゃん、悪いな。ありがとよ」
ロウ「.....ラースよ、つらいと思うが最後の別れを済ませるのじゃ。わしらは他の人が生きているか確かめてこよう」
他の人達は静かにその場を去っていき、周りにはラースとギルグードだけになった
ラース「.....わかった。ギルグード、俺が来るのが遅かったばかりに、お前一人にこんな目に合わせてしまった。許されないのはわかってる。だが.......どうか許してくれ」
ラースの目からは涙が流れている
ギルグード「俺も.....いつでもお前が帰ってきてもいいように村を守るつもりだったんだがな。俺の力不足だ。すまなかったな、ラース」
ラース「....!手が....冷たくなってきた....」
ギルグード「じゃあ.....な、ラース....元気でな」
ギルグードはそう言い、ゆっくりと目を閉じた
ラース「ギルグード!!!!そんな....」
ラースは静かに声を抑えながら泣いた
その間、ギルグードの冷たくなった手はずっと握りしめられていた
その後、村に生き残りはいない事がわかった。
イレブン達はラースと共に村の人達の墓を作るのを手伝っていた。
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