ハーメルン
王様をぎゃふん! と言わせたい
第11話 自覚持って出直してこい



やっぱり、日向と言う男は いつも話題には事欠かないな、と思うのは火神である。

つい先ほどまで、日向の事は 清水と話題に上がっていたのに、また話題のネタが増えそうだ、とも思った。

それと体育館から追い出されるなんて、今時の高校生なら……いや、今じゃ無くても、早々いるもんじゃないと思う。

古き良き時代?

そんな体育会系にはあったのかも知れないが、生憎火神は2度目の高校生活だけど、上下関係は勿論、その他諸々色々ときつい学校で部活だったと思うけれど、それでも実際に遭遇したことはない。


それも2人同時にともなれば、更に希少だ。

間違いなく見知った場面ではあるが、いざ現実に目の当たりにするとやっぱり色んな意味で凄い。


「う、うわあああ!! ど、なっ【仲間の自覚】ってなに!? どうやんの?? そんなの試験勉強にもなかった!!」
「うるせえ! 知るか!!」
「うわああああああ!! 入れてください! バレー、やらせてください! お、おれ影山とも ちゃ、ちゃんと仲良くしますからあああ」
「おいコラ! そこどけ!」
「あたっ! な、何すんだよ! 今俺が話してんだろ!!」
「うるせえ! 主将! すみませんでした! コイツともちゃんと協力します。部活に参加させてください」


本当に目を背けたくなるような状況。まさに阿鼻叫喚。……とまでは言わない。

何度も言うが、これは火神にとっては、知っている光景かもしれないが、知っていることと実際に見てみるのではまるで違った。

まさに百聞は一見にしかず、である。

今四字熟語を使うのなら、或いは唖然失笑が正しいかもしれない。

「ちょっとちょっとお2人さん。今 盛り上がってるとこ悪いけど、そこ、通してくれ」

とりあえず、入り口前を陣取られてしまったら、火神は兎も角 清水に迷惑が掛かるので、まだヒートアップしていて回りが見えていない2人の肩をたたく。

「ッ、ああ! せいやーっ!!」
「よっす。さっきぶりだ。でもやっぱ、いつでも何処でも騒がしいな、翔陽は」
「うわぁぁん、せぇぇいやぁぁぁ! たすけてくれーーー!」
「って、うわわっ! いきなり抱き着いてくるな! お、落ちるって!」

号泣しながら突っ込んでくる日向。
そして 清水から半分託された荷物をどうにか落とす事だけは回避した火神はファインプレイ。

「はぁ……、すみません。清水先輩。先に行ってもらっても大丈夫ですか? 少し話したい事があるので」
「……ふふ、了解。それじゃ、荷物貰うね。ここまでありがとう」

清水は、呆れ顔ではあるものの、何処となく楽しそうな気もする火神を見て、軽く笑った後に、火神が持つ荷物に手を掛けた。

「いえ、こちらこそ。何だか、騒がしくてすみません」
「いい。これは元々私の仕事だし。騒がしいのには慣れてるから。じゃあ、中で待ってる。澤村達にも伝えておく」
「よろしくお願いします。後で自分も改めて言いますんで。あ、清水先輩」
「ん?」

火神は荷物を渡す際に、清水に向かって笑っていった。

「これから、もっともっと騒がしくなると思いますが、どうかよろしくお願いします」
「……みたいね。覚悟しとく」

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