ハーメルン
カスミトアケボノ 「図書館」編
9話 ゴースト・ブレーン2

深夜零時。夜斗は繁華街を歩いていた
「お兄さんお店よってかな〜い?」
「…先約がある」
「そんなこと言わずに〜」
「…二度は言わん」
「え〜」
猫撫で声で夜斗に話しかける若い女を適当にあしらっていた
先約があるというのは嘘だ。しかしこの場所を歩いているからには理由がある
「そうだ、なら聞きたいことがある。槻宮琉那という女を知っているか?」
「答えたらきてくれる?」
「良かろう」
「なら教えてあげる。ついてきて」
女の後を追って店に踏み込む夜斗
突然のスタンガンや薬物に対応するために、《管理者》にて電撃耐性と薬物耐性を付与するのを忘れない
「座って。お酒のお金はあるの?」
「ある。経費につけるからな」
「じゃあ教えてあげる。私がそうよ」
「…は?」
「私が槻宮琉那。よろしくね」
露出度の高い服を着こなすこの女性が、アイリスの元同級生…の、体を利用している悪魔
そう聞いて夜斗は、銃を抜こうとした。が
(ない…。そういえばアイリスにメンテ頼んだな)
完全分解(オーバーホール)のために預けてしまったため、いつも使っているハンドガンは持ってきていない
かといってナイフを使うほど戦闘能力が高いわけでもない
(神機を出すか…?いや、まだ早いか)
「どうしたの?」
「いや、小耳に挟んだんだが、精神整形を受けたらしいな」
「よく知ってるね。小林整形内科ってとこで受けたよ」
「まだやってるのか?」
「やってるんじゃない?整形後定期メンテとかはないからわからないけどね」
そう言って琉那は酒を呷った
(収穫は薄いか。なら仕方がない)
「飲まないの?」
「外に出る気はないか?」
「お持ち帰りってこと?いいよ、いこ」
夜斗はプランBに移行することを決めた
外。ピンク色のホテルが立ち並ぶ通りにきた二人
「さて、この辺りでいいか」
「私のハジメテ食べられちゃう?きゃー!」
「…わかっていて言うな。俺は冬風夜斗。恩恵保持者の頂点に立つ者だ」
《管理者》が起動し、時計が現れ時を刻み始める
時を刻む速度が早まり、分針が秒針のような速度まで速くなった
「答えろ。手引きした魔族は誰だ」
「…なんだ、そこまで知られちゃってたんだ。隠せてたと思ったのに」
琉那は楽しそうに。それでいて寂しそうにわらった
否、琉那というよりは中にいる「別のもの」が
「はじめまして、冬風夜斗。私は夢を操る者・サキュバス…の、末裔。もう私しかいないと思うけどね、サキュバスは」
「…つまりお前が医者を唆し、脳を入れ替えさせたのか?なんのために?」
「…私はサキュバス。サキュバスは見た目がすごくいい。人間を誑し込むために必要な武器だからね。けど、私はそれを持たなかった。すごくコンプレックスだったんだけど、そんな中で日本政府は脳の移植を許可したの。だから手頃な美少女捕まえて入れ替えた、ってこと」
「琉那自身の脳はどこだ。それとお前の体は」
「どこかな。手術された時に聞いたのは、入れ替え。実際にされたのは脳の保存かも」
「急ぐ必要があるな…!」
夜斗は《管理者》による空間転移を起動するために立ち上がる
そんな夜斗の腕を掴んで離さない琉那

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