第6話 TS少女と戦闘訓練(前編)
「わーたーしーがー!! 普通にドアから来た!」
そんなセリフと共に、オールマイト先生、1-Aの教室に降臨。
No.1ヒーローの登場に、教室中が興奮と感動の渦に包まれる中……オールマイト先生が発表した本日の『ヒーロー基礎学』は……なんと一発目から戦闘訓練。
場所はグラウンドβ、入学前に提出した『個性届』と『要望』に沿って業者に発注した『コスチューム』に着替えて集合、とのことだ。
戦闘用の装備で戦闘訓練か……いきなりにも程がある気がするが。
なんてことを考えてたら……考えを読まれたわけじゃないだろうが、オールマイト先生は言い放った。
「格好から入るってのも大切なことだぜ少年少女!! 自覚するのだ! 今日から自分は……ヒーローなんだと!」
そうして着替えを済ませ、グラウンドβ……というか、入試の時に使った市街地型の演習場じゃないのかここ。
そこに集まった私達に、オールマイト先生は今日の訓練内容を説明してくれた。
「敵退治は主に屋外で見られるが、統計で見れば屋内の方が凶悪犯出現率は高いんだ……君らにはこれから、『敵組』と『ヒーロー組』に分かれて、2対2の屋内戦闘訓練を行ってもらう!」
設定は、テロリストが市街地のアジト内に核兵器を隠していて……ヒーローはそれを処理しようとしていると。設定が海外ドラマみたいだ……先生が考えたのかな?
敵役が先にビルに入って準備を整え、5分後にヒーローが行動開始。
ヒーロー側の勝利条件は敵2名の確保か、核兵器の確保。核兵器の方は、張りぼての爆弾にタッチするだけでいいそうだ。
敵の確保については、気絶させるか行動不能にするか、あるいは事前に渡された『確保テープ』を体のどこかに巻き付けることで達成とする。
一方、敵側の勝利条件は、同じくヒーロー2名の確保か、あるいは制限時間15分の経過。
コンビ分け及び対戦相手はくじで決定されると……なるほど。
で、そのくじ引きの結果決まったのが……次のような形だ。
緑谷・麗日コンビ VS 飯田・爆豪コンビ
轟・障子コンビ VS 尾白・葉隠コンビ
蛙吹・常闇コンビ VS 八百万・栄陽院コンビ
砂藤・口田コンビ VS 瀬呂・峰田コンビ
耳郎・上鳴コンビ VS 芦戸・切島コンビ
ううむ……チームにも対戦の組み合わせにも、一癖も二癖もありそうなのがそろったな。
☆☆☆
1回戦、緑谷・麗日コンビ対飯田・爆豪コンビは、ヒーローチームである緑谷達の勝利で終わった。2人共ボロボロになっての辛勝だったけど。
それに対して、敵側はほぼ無傷……ただ、何か爆豪は終了後、何か考えこんでたのかぼーぜんとしてたな。オールマイト先生が現場行って声かけるまで、過呼吸気味になって汗だくだった。
双方のチームに課題の多かった試合だったと思う。
戦闘後の公表でオールマイト先生……というよりも八百万先生に言われた通り、爆豪は連携の『れ』の字もない戦いだったし、麗日は状況把握が甘く、訓練だということに甘えた立ち回りだった。緑谷は、作戦構成こそ見事だったものの、そこに至るまでの過程がガタガタでズタボロに。
特に緑谷と爆豪は、どっちも通路と壁面吹き飛ばすわ、パンチで建物を縦に貫通させるわ……ビルぶっ壊しかねない威力の攻撃を……『核兵器』が本物だったら完全にアウトだもんなアレ。
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