宇宙人とホスト 【クロス作品】(宇宙人ジョーンズ・ミッドナイト)
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この惑星の住人は、絶えず競い合っている。
「お前が」
「お前が」
「お前が」
「「「ナンバーワン!Yaaaa!!」」」
「...やっぱカッコイイよねナンバーワンは」
そして無意味な順位をつけて喜んでいる。
「ジョーンズさんさぁ、ちょっとダサいよ」
「えー、私は好きだけどなぁー」
「ジジ専だったの?」
「渋くていいじゃん」
「私は向いてないと思うけどな~」
ただ、この惑星の日焼けサロンは―――
「あれ?ジョーンズさんじゃん」
すごい。
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ピーカン倶楽部と看板に掲げられた日焼けサロンから出てきたジョーンズは、小麦色に肌が焼けていた。ついでと言わんばかりに金髪にも染められており、ジョーンズはどこか満足げだった。
一息入れるためにジョーンズが缶コーヒーを飲んでいると、一人の男性が声をかけて来た。
「ジョーンズさん、こんがり焼いたねぇ」
声をかけてきたのはジョーンズが働いているホストのナンバーワン、ミッドナイトであった。
仕事着と普段着が同じなのか、マゼンタ色のワイシャツに黒のコートとスラックスという出て立ちであった。その顔には苦笑が張り付いており、どこか困惑したようにも見受けられた。
「うーん。イメチェンもいいけど、ジョーンズさんには似合わないかな」
「!?」
突然のダメ出しにジョーンズは衝撃を受ける。染めた髪に小麦色の肌、これでナウ(死語)でヤング(死語)な若者に馬鹿ウケ(死語)だと思っていたジョーンズには途轍もない衝撃であった。
ジョーンズの動揺具合に、ミッドナイトが逆に動揺する始末でる。
「い、いやいや。ジョーンズさんはチャラいような派手系じゃなくてイケオジの渋い系でしょう?」
「シブイ...?」
「もしかしてジョーンズさん、ファション疎い...?」
言葉の意味すら分かってなさそうなジョーンズに、ミッドナイトは困惑する。ホストとしてやっていくには必要な知識がないのだから。
この分では他の知識や技能などもないのだろう、それでよくホストをしようと思ったのか。ただミッドナイトとしても、訳アリでホストを始めるものを多数見ているためジョーンズのその一人なのだと勝手に納得した。
そして面倒見のいいミッドナイトはジョーンズのことを放っておけなくなっていた。
「ジョーンズさん、俺でよかったら色々教えるよ?」
「ホントデスカ」
「仕事仲間で後輩なんだから当たり前さ」
ミッドナイトの申し出に、ジョーンズも乗る気であった。惑星調査員として多くの情報を手に入れることができる、またとない機会なのだから。
そしてジョーンズは、ミッドナイトに案内されるままに都市へと繰り出した。
「まずは服装だけど...え、肌と髪戻ってる」
ミッドナイトが行きつけの洋服屋に着くと、ジョーンズの小麦肌と金髪が元に戻っていたことに驚いていた。身体操作など造作もないジョーンズにとってこのぐらい朝飯前なのだが、似合っていないと言われたことが相当堪えたようであった。
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