ハーメルン
徒然なる方舟のままに
雪やこんこ霰やこんこ (ドクター・アーミヤ・マッターホルン)


 カン、という音と共に熱燗を呷り笑顔を浮かべる二人。
 と、そこへ一通り遊びまわったアーミヤが雪を被ったまま戻ってきた。ドクターはアーミヤに近付くと雪を掃ってやる。


「こらこら、風邪ひいちゃうぞ」
「えへへ...。ありがとうございます」


 アーミヤは、はにかみながら両手を差し出した。そこには雪で作られたウサギが乗せられていた。
 甲板なため、植物などがなく雪のみで作られていた。目の部分は窪ませて、耳はたくさんの雪が盛られていた。


「上手じゃないか」
「頑張りました!」


 ドクターは雪ウサギを受け取ると、冷酒用に突き刺しておいたビンの上へと乗せた。
 雪の中にいたためか、頬や耳を赤くしたアーミヤを座らせると、マッターホルンがカップを一つ差し出した。


「アーミヤCEO、どうぞ暖かい甘酒です」
「ありがとうございます。...ふぁ。身体の中から温まりますね...」


 両手でカップを握り締めながら、アーミヤは顔を綻ばせる。
 三人は静かに雪見酒を楽しんでいたが、月灯りのある中雪がちらつき始めた。


「また、降ってきましたね」
「むしろ雪見酒にはぴったりじゃないか」


 白い吐息が吐き出される中、談笑しつつその夜を過ごした。




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