雪やこんこ霰やこんこ (ドクター・アーミヤ・マッターホルン)
カン、という音と共に熱燗を呷り笑顔を浮かべる二人。
と、そこへ一通り遊びまわったアーミヤが雪を被ったまま戻ってきた。ドクターはアーミヤに近付くと雪を掃ってやる。
「こらこら、風邪ひいちゃうぞ」
「えへへ...。ありがとうございます」
アーミヤは、はにかみながら両手を差し出した。そこには雪で作られたウサギが乗せられていた。
甲板なため、植物などがなく雪のみで作られていた。目の部分は窪ませて、耳はたくさんの雪が盛られていた。
「上手じゃないか」
「頑張りました!」
ドクターは雪ウサギを受け取ると、冷酒用に突き刺しておいたビンの上へと乗せた。
雪の中にいたためか、頬や耳を赤くしたアーミヤを座らせると、マッターホルンがカップを一つ差し出した。
「アーミヤCEO、どうぞ暖かい甘酒です」
「ありがとうございます。...ふぁ。身体の中から温まりますね...」
両手でカップを握り締めながら、アーミヤは顔を綻ばせる。
三人は静かに雪見酒を楽しんでいたが、月灯りのある中雪がちらつき始めた。
「また、降ってきましたね」
「むしろ雪見酒にはぴったりじゃないか」
白い吐息が吐き出される中、談笑しつつその夜を過ごした。
.
[9]前 [1]後書き 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:4/4
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク