ファラさんの生徒誘拐イベントから一夜が明けた。 あれからファラさんは何か仰々しい裁判所みたいな場所に連れて行かれたが、俺が『この人無罪です』と言っておいたので多分死罪になる事はない。 俺が何も言わなかったら、操られてようが何だろうが無関係に問答無用で死罪だったと思う。 法律どうなってるのと思わないでもないけど、この世界で聖女を殺そうとするっていうのはそれくらいにやばい事らしい。まあ俺偽物だけど。 これ、偽物ってバレたら俺死刑台に送られそうだな。 それと、城に戻ってからは近衛騎士の皆さんや教師の方々に盛大にお説教をくらった。 まあ気持ちは分かる。この人等の立場からすれば護衛対象が俺みたいにあっちこっちフラフラして死なれでもしたら責任問題になるだろうし、職も失って無能の誹りも受けるだろう。 そりゃふざけんなって話になるのも仕方ない。 でもまあ、一応そうなった時の為に俺の私室のテーブルの鍵付きの引き出しには俺が実は偽物でしたっていう盛大なカミングアウトと、後に残された人達には一切落ち度はないよっていう遺書を残してある。 備えあれば憂いなしってな。 海外の似たようなことわざだと、『Hope for the best,but prepare for the worst .(最善を願いながら、最悪に備えよ)』という。 あ、これ格好いいな。次技名にしよう。