ハーメルン
理想の聖女? 残念、偽聖女でした!(旧題:偽聖女クソオブザイヤー)
第十四話 加速する誤解


 『悪意がなければいい』……とんだ甘えだった。
 悪意の有無など関係なく、魔女は魔女なのだ。
 そうだ、考えてみれば分かる事。歴史上に一人も悪くない魔女がいなかったとは考えられない。
 それでも彼女達は魔女だった。
 ……本人の意思に関係なく、魔女がいるだけで世界は闇に傾くのではないか。そうエテルナは思った。
 エルリーゼがいるだけでそこが光で満ちるように。彼女自身が光そのものと言っても過言ではないのと同じように。
 自分がいるだけで、そこは闇になる。自分そのものが闇……。

(だめだ……これ以上誰かを傷つけてしまう前に消えないと……
私が……この世界から消えないと……)

 フラフラと立ち上がり、泥酔したかのような頼りない足取りで教室を出る。
 普段ならば誰かしらが気付くだろう異常だ。
 だが皮肉にも……エルリーゼの見せた奇跡が鮮烈すぎたが故に。誰もがそちらに目を奪われてしまっていたが故に。
 誰も、エテルナに気付く者はいなかった。

 強すぎる光は時に、闇以上に人の視界を塞いでしまう。

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