一休みする毛玉
「はぁー、もう疲れたよ」
「まだ資材集め終わったくらいですよ、呑気なこと言ってないでさっさと働いてください」
「ニートに言われたくない」
「もうまたそれですかぁ、にーととか、どんか○すとか、訳の分からない単語ばっかり使わないでください」
くっ………この時代だと現代のカタカナの単語が基本全部通じなくて辛い………多分私だけボケても浮いてる感じがする。
資材を集め終わったって言ったって、三日全力でやってこれだよ?
今から丸太を加工して木材にして、そっから組み立てるんでしょ?もういいよ疲れたよ、いやよくはないけど、家欲しいけど、一旦休憩しようよ。
「洞窟の中で一人きゅうり咥えて寝てるだけのくせによぉ」
「河童がきゅうり咥えてなにが悪いんですか、河童からきゅうり取り上げたら発狂して自殺しますよ?」
「お前から引きこもる部屋を奪ったら?」
「穴掘ってそこに引きこもります」
「そのまま埋めて埋葬してやりたい」
きゅうりは柊木さんが渡しに来た。
なんかきゅうりだけ運びに来るあの人を見て、凄いパシリだなって思った。
焼きそばパン買ってこいって言ったら本当に買ってきそう。
「ほら、そこにのこぎりがあるじゃないですか、それで早く加工作業に移ってください」
るりが指差した先を見ると、のこぎりや斧、槌などいろいろ置いてあった。
「これ、いつのまに?どうしたの、作った?」
「まさか、あの目つきの悪い人に持ってきてって言ったら持ってきましたよ。………どうしたんですか膝ついて」
「いつか何かお返しするからね柊木さん………」
「まぁそれにしても、こんなに妖怪の出てきそうな場所でよく今まで生きてましたね。大した建築物もないから妖怪も興味示さなかったのかなぁ」
「お前はそれでいいのか、そんな洞窟に引きこもって、妖怪に襲われるかもしれないんだよ」
「いいんですよ別に、あの部屋にいたら絶対誰かが部屋に入ろうとしてくるんですよね。それに比べたら今の方が全然いいですよ」
人がいるより洞窟の中できゅうり食ってるほうがいいってか。
そういえば私にはあまり人見知り発動しないよね。
「私は話してて平気なの?」
「え?あぁ、そうですね………なんというか、こう。凄そうな感じがしないんですよね、毛糸さんって。毛玉だからかなぁ、そもそも人として見てないというか」
「………つまりそれは私を舐めてると捉えていいの?」
「ほら、そうやって脅してる雰囲気出してても、全然怖くないんですもん、なんなんですかね、これ。多分あれですよ、毛糸さんって知り合い全員に舐められてますよ」
「………」
私、そんな感じだったんだ………
「あ、毛玉になった。急にどうしたんですか?」
………
「あれ、もしかして傷ついちゃったりしましたか?」
………
「ごめんなさいそんなつもりはなかったんですけど、本当のことだから。あ、ちょっとどこ行くんですか!」
もうやだおうち帰るぅ!
あ、家まだ作り始めてすらいないんだった。
くっ………とりあえずここから離れよう。
べ、別に傷ついたとかそんなんじゃねえし!ちょっと気分転換しに行くだけだし!
「あれ、どうしたんですかけだ………毛糸さん、落ち込んでるみたいですけど、何かあったんですか」
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