ハーメルン
【休載】生きたければ飯を食え Ver鬼滅の刃
メニュー15 塩ケーキ

メニュー15 塩ケーキ

いつも通りカワサキが夕食の準備を進めていると、突如厨房の扉が勢い良く開いた。

「うお!? なんだ、どうした!? 巌勝かッ!?」

鍋をかき回していた手を止めてカワサキは慌てて厨房から顔を出す。

「梅? なんだ、どうした?」

だがそこにいたのは巌勝でも縁壱でもなく、梅の姿だった。

「うわあああんッ!!! カワサキィッ!!」

「ふぐおうッ!?」

号泣しながら突進してきた梅の勢いを止めきれず吹き飛ぶカワサキと号泣している梅。そんな中でもオーブンレンジは動き続け、焼き上がりの音が空しく厨房に響いているのだった……。




えぐえぐ泣いている梅を見ながら、梅の石頭がめり込んだ胸を摩る、むっちゃ痛かったな……。

「で、どうしたよ?」

「ううう……間違えたの、砂糖と塩間違えたのぉ……」

「あー……その量を?」

こくりと頷く梅。良く見ると厨房の外に巨大なボウルが2つ鎮座しているが、それ両方とも砂糖と塩を間違えたのか……。

「どうしよう……」

「ホットケーキを作るつもりだったんだよな? 使ったのは薄力粉とベーキングパウダーか?」

泣きながらも頷く梅、何度かホットケーキを作っていたけど、まさか砂糖と塩を間違えるかあ……。

「良し、何とかしよう。梅も手伝ってくれ」

「な、何とかできるの?」

「出来る出来る、楽勝だ」

台所クラッシャーと比べれば砂糖と塩を間違えたくらい可愛い失敗だ。それを修正するくらいは何とでもなる。

「まずはっと……これは卵を割りいれた所までか?」

「うん……」

となると、牛乳と卵も入っているか。それならっと玉葱を取り出して梅の前に並べる。

「皮を剥いて、水洗いして、微塵切り。出来るか?」

「で、出来るわ」

ちょっと不安だけどやる気を買うことにしよう。梅に微塵切りを頼んでいる間に俺もパプリカと豚肉の塩漬けを取り出して、下拵えを始める。

「これで何を作るの?」

「ケーク・サレだ」

「けーくされ?」

横文字が苦手な梅が首を傾げている。まぁ、そこまで一般的な料理ではないし、そもそも俺もそんなに作ったことがあるわけではない。特にこの世界に来てからは1度も作ってないので、当然誰も知る訳がないか。

「塩ケーキだ。おかずと主食を兼ねた物だ」

「そんなのもあるんだ」

「あるぞ、砂糖の変わりに塩を使うからな、まだ修正出来るだろう」

パプリカのヘタを落として、種を取り除いて、食べやすい大きさに切り分ける。豚肉の塩漬けも軽く塩抜きをしてから食べやすい大きさに切る。

「カワサキ、切れたよぉ」

「よし、じゃあそれをバターで炒める。それは俺がやろう」

玉葱を丁寧に炒め、焦がし玉葱にしたら生地の中に入れて全体を軽くかき混ぜる。

(何とかなるかな?)

ケーク・サレは少し混ぜたり無いかなって位で丁度良いのだが、物凄くしっかり混ざっている生地に僅かな不安を抱き、生地の中に玉葱が均等に混ざるように混ぜ合わせたら、微塵切りにしたパプリカと豚肉の塩漬けを加えてさらにさっくりとかき混ぜる。

[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/4

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析