メニュー16 酒宴
メニュー16 酒宴
さて突然だが、俺には嫌いなものがいくつかある。1つは食べもしないのに、不味いという奴。これは知り合いが不味いと言っていたからと言う理由で食べもしない奴、次に自分の意志を押し付けて人を監禁する女、そして権力と金で強引に話を押し通す輩……この4つが特に俺の嫌いな物だと言えるが、ここに最近あと1つ付け加えるべき物があると最近思っている。
「……駄目か?」
「……ああ、判った。判ったから、そんな捨てられた犬みたいな顔をするな」
犬とは失礼だなと言う無惨だが、急に酒宴をやりたい、あれを食べたいと言い出して駄目だと言うと、しょんぼりとするのは犬と言わず何と呼べば良いのか……俺が甘やかした結果なのだろうかと悩みながらもOKを出した以上は買出しに行かなければならない。
「鳴女と、どうせ暇してるだろうから童磨……あとは……「買い物なら俺様が手伝うぜッ!」……じゃあ、伊之助も来るか」
10歳前後になった伊之助が手伝うとやる気を見せているので童磨と連れて行くことにしよう。
「終わったら合図するから無限城に戻してくれ」
「判りました、ではお気をつけて」
「楽しみにしている、酒は私が用意するからな」
「判った。後今度から急に酒宴とか言うの駄目な、最低でも2日前には教えてくれ」
急に酒宴の準備とかをするのは大変だからなと無惨に釘を刺して、俺達は買い物に出かけるのだった。
「カワサキ、あれだ! 天ぷら! 天ぷら食べたい!」
「良いねえ。天ぷら、俺も食べたい」
人選間違えたかな?……いやでもまあ。海鮮鍋を作る予定だから海老とか烏賊は買う予定だから天ぷらも作るかと思い、伊之助と、伊之助とほぼ同じ精神年齢の童磨に判ったと返事を返し、市場に足を向ける。
「よう、カワサキさん。今日はいいもの仕入れてるぜ」
海老や烏賊と言った海鮮に、鍋に入れる野菜を買っていると背後から声を掛けられた。
「珍しいな、今日は店をやってるのか」
「おう、むしろ毎日開かないから稀少価値があるんだよ」
珍しい食材ばかりを取り扱っているが、珍しい品ばかりを集めているので滅多に店を開いていない珍品堂が開いていて足を止める。
「珍品堂ね……俺初めて見るけど、良い店なのかい?」
「ああ、良い店だよ、珍しい食材ばかりある、ただし珍しすぎて価値の判る人間がそういないのが問題だ」
「はははは、そうなんだよなあ。前の松露は失敗だったなあ」
そう笑う店主だが、俺からすればここは宝の宝庫なので、最後によることにした。
「うお!? でけえ海老だ! カワサキ! これ、これで天ぷら食べたい!」
「伊勢海老で天ぷらは勿体無いなあ。これなら鍋に使いたい」
「駄目なのか?」
「親分は自分だけ美味しいものを食べるのか?」
伊勢海老は1匹しかいない、自分しか食べれないと判ると伊之助は止めておくと言った。
「偉い偉い」
「親分は子分と一緒に美味い物を食べる! だから子分と天ぷらを食う!」
口調は乱暴だが、この不器用な優しさが伊之助の良い所だろう。
「松茸はあるか?」
「あるよ、ついでに鱧もどうだ?」
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