17 めいきゅうの歩き方
迷宮攻略開始ですが。
スロースタートです。
かぽ〜ん
この擬音で表す事柄すなわちお風呂である。
湯気で少し白く霞みがかる室内で
雫はしっとりとした黒髪を束ね上げあらわになったうなじは
ほんのり桜色に染まり濡れた後れ毛が張りついてる。
彼女はその猫科を思わせるしなやかな背中を丸め
長く引き締まった脚を湯船に下ろすと
程よい温かさが足元から全身にやんわりと伝わり雫は思わず
「んっふうっ」
弛緩していながら、どこか艶やかさを感じる声をもらす。
「エロッ!あざとエロッ!」
先に湯船につかっていた鈴が言う
その言葉を聞いた雫が頬を赤く染め
湯船に体を沈めながら
「鈴!エロってなによ⁉︎」
「シズシズの自覚無きエロさに鈴のリビドーが高まったのだ!
それを鎮めるため!お湯に浮いてるそのたわわを揉ませ・・ブッ」
「お風呂の中で暴れないの!鈴!」
鈴のセクハラは恵里の鈴への脳天チョップで止められる。
鈴は雫のたわわに未練の視線を向けながら己の頭を手でさすり
「ぐぬっう。恵里が鈴にチョップをかますとは
恵理?少しうかれてる?」
軽い発言が多いが他人の心の機敏に鋭い鈴の言葉に
恵里はトータスに来てから存外の幸運に恵まれ
無意識に警戒が薄くなった事に反省し
気持ちを引き締めなおすと話の矛先を変えるため
「ここが迷宮の中なんてまだ信じられないよね」
「うん。お姉さんすごすぎ」
恵里達の対面でボヘ〜と弛みきった顔で
湯船につかっている海里を見ながら
三人は先程の海里自身の非常識を思い返していた。
メルドら騎士団に引率されながら
生徒たちは魔物相手に訓練を続け
順調すぎるペースで下層へと降りて行った。
そして三十階層の開けた所にでた時メルドが
「今日はここで野営を行う。全員で手分けして準備にかかれ」
その言葉に生徒たちはホッとするが
「ううっ真央、体が汗でベタベタする」
「だね〜こんな所じゃシャツを替えて体を拭くぐらいが
せいぜいだよね〜綾子」
綾子が訓練で汗をかき、その不快感を言葉にし
どことなくのんびりとした口調で真央が返事している中
突然 ドスン! ドスン!と連続で何か
重量物を置く様な音が響く
音のした方向を見て全員が呆然とする。
なんという事でしょう。迷宮の壁沿いに
三棟のプレハブ小屋らしき物がいつの間にか建っておりました。
右から“湯” 、“女”、“ 男“と入り口のドアに書いてあった。
このプレハブ擬きは海里が万が一の逃亡用に作り上げたもので
マイルの世界と違いトータスでは自重も普通もよそおう事を
止めているので中の施設は現代的であり。
建物の強度はオークが百匹乗っても大丈夫だ。
そんなわけで雫達女生徒は迷宮の中で5、6人は
一緒に入れる浴槽にシャワーや石鹸、シャンプー完備の
移動式風呂を堪能していた。
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