ハーメルン
うちの脳内コンピューターが俺を勝たせようとしてくる
ゴキゲンの湯

5月の末、山刀伐八段対九頭竜竜王の3回目の対決があり、今回も見事に九頭竜が負ける。敗因は終盤、最後の無理攻め。確かに負けがちらつく場面で、尿意を我慢していたらあそこのタイミングで攻めるのは分かるけど、アイは『もったいない』とか言ってた。

この後の九頭竜は清滝さんの家の近くの銭湯に行って、梅雨入りして、ゴキゲンの湯の流れか。……ゴキゲンの湯は、京橋じゃなかったらもっと活用していたんだけどなぁ。神戸からだと、ちと遠い。福島から京橋だと電車で10分ちょっとだけど、神戸からだと1時間弱かかる。だから俺も、ゴールデンウィークという小学校が休みの時期を選んだ。

だけど休みの日に行ける距離ではあるし、往復に2時間かけても通う価値はあった。どうせなら、九頭竜が働いている時期に押しかけて揶揄ってやろうか。……JSリフレとかやらかすし、ぶっちゃけそこだけは少し羨ましく思う。

『天衣なら踏んでくれると思いますよ。頭を本気で』
(空さんと同じじゃねーか。
っと、そう言えば天衣が修行している時に空さんは来なかったのかな?)
『マスターがいない時に、エンカウントしている可能性はありますよ。特に棋帝戦の挑戦者決定戦で、名人をなぎ倒している間に』
(対局はともかく、その後の取材はすっぽかしたかった。初のタイトル挑戦だし、質問が多いのは分かるけど取材だけで半日近くかかったからな)

俺は棋帝のタイトル挑戦が確定したので、7月から篠窪太志棋帝と戦うことになる。関東所属の若手棋士の中では歩夢以上に頭角を現しているし、有名私大の慶應大学を首席で卒業済み。中卒の俺とは学歴で雲泥の差があります。前世ではそこそこの大学を卒業するはずだったんだけどね。今世は高校に行く気が起きなかったから中卒です。

『とりあえずフルボッコにしましょう』
(当然。イケメンで王太子呼ばわりのリア充はストレートに負かす。
……名人は、ストレートで負かしたんだっけ?)
『ストレートです。ニコ生の九頭竜大炎上が棋帝戦の第3局で、そこで決着がついていますから』
(大炎上は……この場合するのか?後で絶対に放送は見返すけど)

念のために篠窪棋帝の情報は集めるけど、集める度にストレスが溜まりそうなので途中で打ち切る。棋帝戦の途中で天衣のマイナビ女子オープンがあるし、そっちに集中しよう。

天衣の出るマイナビ女子オープンは、アマでも参加できるチャレンジマッチ、1次予選、本戦と勝ち抜いたら空さんと女王のタイトル戦をすることになる。天衣はまだアマチュアなので、チャレンジマッチからの参戦だ。ちなみにあまり通ってないけど、関西将棋会館の将棋道場で、天衣は四段になっている。

原作では研修会に入っていたからそれが参加資格条件だったけど、入って無いから有段者にはなっておかないといけない。たぶん通い詰めたらもっと上がると思うけど、本人もあまり乗り気ではないし四段で止めておいた。

今日は天衣のお屋敷で、香落ちの指導をする。平手感覚で指すというのも一つの手ではあるし、それで勝てるなら良いけど、香落ちは立派なハンデだし、貰ったハンデを突く方法ぐらいは知って損がない。

「香落ちは平手感覚で指すと、下手側が不利になることもあるからな」
「下手側が不利?それは、香車を取れないということかしら?」
「ああ。それもあるが敵の香車があれば成立するという手が、無いせいで成立しないこともある。香車が無いことによる隙の方が大きいけど、平手感覚で指すとその隙も突けないしな」

[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/2

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析