2話 幼馴染と初戦闘。
目を開くと、そこには……別せーーーん?
暗い、というかなんも見えねぇ。
俺今、目蓋あげてるよな?なんて考えること約1秒ほど。
見えなくても背後から感じる、彼女の気配によって、自分が目隠しされている現状に気がついた。
……一瞬、本当に機械の不調を疑ってしまったのが恥ずかしい。
「……そろそろ、外の景色を見たいんですけどね、メイプルさん」
確かな理由など何もないが、俺が彼女らを間違えることなどあり得ない。
「おお〜!流石、あっくん。よく私だってわかったね!」
そんな声と共に、俺の目を塞いでいた小さな手が外された。
視界に映ったのは、穏やかな異世界の風景だった。
CMなどの多くの映像で、どのような風景なのかは知っていたのだが、実際に目の当たりにすると、やはり感動を覚える。
「……こりゃ、メイプルが気にいる訳だ」
バトル要素がなくても、このクオリティならば、売れてもおかしくないと思う、そう感じさせるほどの魅力が、確かにここには広がっていた。
「……それで、あっくん。名前は、どうしたの?」
しばらく景色に見惚れている俺を、放置してくれていたメイプルだったのだが、そろそろ我慢の限界だったらしい。
俺の脇腹をツンツンとつつきながら、そんなことを聞いてくる。
俺はここで、初めてメイプルに視線を向けた。
そして、次は彼女の姿に感動を覚えた。
黒き鎧に、身を包んだ彼女は、もう既に、この世界の住人だったのだ。
「似合ってるよ、その装備」
「えへへ〜、それほどでも〜」
一応、そう言っておくと彼女は表情を崩して、いつも通りのゆるゆるな笑顔を浮かべた……うん、変わらない安心感って大事だな。すごい落ち着いた気がする。
「それで、名前は?」
「そうだった。名前はアサギ、ご要望通りに"あ"から始まるようにしたぞ」
知り合いに対して、アサギとして自己紹介するのは、少し不思議な感じがするな。
「アサギ、アサギくんか〜!いいじゃん、あっくん!」
結局、あっくんなのね。
「……それはそうと、りーーアイツはまだ来てないのか?」
「え、あぁ!理沙からもう直ぐ来るって連絡きてたから、時間はかからないと思うよ」
「バカやろう」
こっちが、ギリギリで気づいてわざと名前を伏せたのに、コイツ簡単にリアルネーム言っちゃったよ。
軽ーくチョップをすると、この子がVIT極振りなのがよくわかる。手が痛え。
「へ?」
そして、この本当になんで怒られたのか、わからない顔ときた。これが、三位って冷静に考えるとヤバいな。
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