6話 幼馴染と新装備。
「……………体育とかまじ、むり。ほんと、しんじゃう」
昼休み……前の授業が体育であり、運動を余儀なくされた俺は現在、体育に対して怨嗟の声を垂れ流しながら、机に突っ伏していた。
「あははは……あっくん、今日は朝からずっとこの調子だね」
「ま、私と同じ速度でユニークシリーズを取れたぐらいだし、相当無理したんでしょ」
「ごめーとー……はぁ、やる気でねぇ」
昨日、氷龍と戦った時に使った、擬似サリー回避の反動は想定よりも酷かった。
頭が重いわ、体も怠いわ、何より超がつくほどの無気力状態に、陥ってしまったのである。
「しばらくNWOはやらなくて、いいかもしれない」
ポツリと呟いた俺の言葉に、理沙が苦笑いを浮かべて、ツッコミを入れる。
「やり込むために、ユニークシリーズ取ったのに……本末転倒してない?」
なんで、お前そんなにピンピンしてんだよ……スタミナお化けじゃねぇか。
理沙に対してジト目を向けていると、正面に回り込んだ楓が、半分泣き目で言ってくるのだった。
「あっくん……もう……飽きちゃったの?」
天然天使の楓によって放たれた言葉は、教室中に広まっていき……
「ねぇ、ちょっと宮戸くん、ひどくない?」
「アイツ、飽きたって」
「そりゃ、ないわ……男として最低だな」
「飽きるほど、モテてるってか?けっ!」
「ちょっと待てぇぇぇ!?」
飽きた女を捨てる、最悪の男……という最悪の風評被害に遭いそうになったところを、理沙に誤解を解いて、助けてもらう羽目になった。
誤解というより、お前ら、わかってて楽しんでるだけだろうが……
◇◆◇
「というわけで、やってきました。NWO!」
「あっくん、結局ログインしたんだね……」
「頼んだのは、お前だろ……半分、やけくそみたいなもんだ。それより、サリーは?」
ログインして、自分の服装が踊り子状態だったこと以外に、発生した問題は特になかった……心が痛い。
あまりのショックに、無気力状態から、通常運転に戻ったことだけが、救いだった。
ユニークシリーズについては、3人で揃った時に見ることにしていたため、今は初期装備に変更した状態である。
「お〜い、2人とも!ごめんね、ちょっとお母さんと話してて!」
サリーの声が聞こえた方向へと、視線を向けると、そこには随分とオシャレさんになった上機嫌そうなサリーがいた。
全体的に青を基調とした装備となっていて、泡をイメージしてデザインされたであろうマフラーを、嬉しそうな表情で弄っているのを見ると……何やら微笑ましいものを見ている気分になってくる。
こういう、女の子らしいサリーの姿を見られるのは珍しいため、キチンと心のメモリに、その光景を保存するのを、忘れないようにしておく。
……サリーの様子を見ていると、俺も自分のユニークシリーズがどのような物なのか、少し気になってきた。
スキルなどにも関わってくる情報なので、人通りが多い街中ではなく、宿屋に移動してお披露目、ということになった。
サリーが、見た目も性能も、手に入れたプレイヤーに合った装備になるのでは?という予測を立てていたが、まさかな?
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