ハーメルン
嘘つきの道化師 
3


ー身体が物理的に少し重い。

早朝の通学路を歩きながら私は思わず肩を落としてしまう。実は昨日の一件で私は重りをつけて生活すると言う制約がつけられてしまった。それと言うのも、こころと別れたあと別の部屋で黒服さんが放った一言が発端になる。

『美咲様、体力増強しましょう』

『はぁ???』

いきなり過ぎて変な声が出てしまったまである。黒服さんの話によると、一日中ミッシェルを着る事はかなり私自身に負担がかかるとの事。そして、ミッシェルの着ぐるみに関しては黒服さんがなるべく負担軽減させるように努力はするとの事。ただ、それだけでは完全に負担を軽減させる事はできないらしい。その為美咲自身の体力増強をする必要があると言う結論に至ったらしんだけど、そこまでする必要ある???

『いやいやいや、そこまでするなら代打の人を付けるとかそう言う話にはならないんですか!』

『それは、それで考えたんですが、代打してもらったとしても、こころ様の持っている洞察力で看破されて質問攻めさせられてバンド所じゃなくなります』

その通りでこころは変なところで察しがいいから、もし質問攻めになって曲に入れなかったらそれだけでも大惨事だからね。

『でも、たがらってなんで、私自身も肉体改造をしなければいけないんですか……』

『先程から言っておりますが、ミッシェルを改造するにしても限度があります。そこを補う為には、美咲様の体力を増やしてもらわなければならないのです』

『でも……』

『そこをなんとか、なんとか、お願いします!』

渋る私に対して、最終的に黒服さんが土下座までしてしまい、押し切られてしまったのである。その結果、両手首と両足首に5kgずつの重りが、胴体には10kgの重りが周囲にバレない様に加工されて装着されている。まぁ、夏服にせよ、冬服にせよ胴体と足首に関しては隠されてるのでバレないとして、問題として両手首の重りに関してはリストバンド風に仕立てられており、テニス部であるからと言う理由で隠し通す事は可能だと思う。

『私共も美咲様の日常に異常をきたす事はしたくありませんので、寝る時とお風呂を入る時は必ず外して、それ以外の時は忘れずに装着しておいてください。それと、重りは随時増やしていきます。しかしながら、美咲様をそのようにしてしまう原因を作ったのは私共もなので全力でサポートする所存です』

"それと、重りのある生活に早く慣れるためには走ったりした方がいいですよ"と言うアドバイスを貰い昨日は帰らせてもらった。なんだろう、その内ハイ、サイドチェストー!って言って服破壊すればいいのかな。

「ふぅ……だからってなんで、朝起きて河川敷走りに行ったんだろう」

そのアドバイスっと言うよりかは、久々に気持ちよく朝起きれたと言う事で河川敷を走ってきたと言う方がしっくりくる。朝の河川敷はとても気持ちよくて、暑くなりつつあるこの時期でも川から来る心地の良い風や昼間より過ごしやすい気候が結構好きだなぁ。そうだ、明日も走りに行こう。そう考えているうちに勝手に頰が緩み自然と口の端が上がって笑ってしまう。

「……ハッピー、ラッキー、スマイル、イェーイ……ねぇ……」

笑ってしまうといつもの様に思い出すその言葉に私は思わずふふっと鼻で笑ってしまう。やっぱり私もこころに相当毒されてるんだなぁ。

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