ハーメルン
《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜
第十話

(くそ〜、リオンめ!)

 エドワードは本来なら自分のものにしたかったであろうレンズを村の復興の名目で寄付してしまったことを悲しんでいた。
 そしてそれ以上にそのきっかけを与えたリオンに怒りを持っていた。

「……なんだ? ジロジロ見るな」

 リオンはなぜ見られているのか分かっていてその発言をしている。
 なぜなら微かに笑っているからだ。
 その態度もエドワードの機嫌を損ねる理由の一つとなっていた。

『それにしてもモンスターを操る能力を持ったモンスターか』
『そうですね。今回は坊っちゃんがいたから瞬殺でしたけど、通常ならあれだけのモンスターに囲まれたら戦意喪失してしまいますよね』

 時雨(しぐれ)とシャルティエは今回の襲撃について話し合っていた。
 亜種が出ることはあっても、全員の記憶の中でモンスターを統率して操るといった能力を持ったモンスターはいなかったからだ。

『何かの前触れでなければいいのだがね』
「今回のことは陛下に報告しておく。どうするか考えるのはそれからだな」
『というか、エドはいつまでそんな顔をしているんですか。村の復興に使えたのであればいいでしょう』
「まぁ……そうなんだけど……そこは仕方ないんだけど。リオンに言われて出すのがとても嫌だった!」
「……子供か、お前は」

 エドワードの理由を聞いたリオンはため息をつき、それ以降ダリルシェイドに着くまで口を開くことはなかった。


◇◇◇◇◇◇


「王国客員剣士リオン・マグナス様、セインガルド王国兵士エドワード・シュリンプの入場です」

 ダリルシェイドに着いた一行は、セインガルド王に報告をするため城に向かった。
 エドワードは一般兵なので報告はリオンだけにして欲しいといったのだが、その要望は受け入れられず、リオンの後ろをとぼとぼとついて行ったのである。
 そして謁見の間の扉が開かれ、セインガルド王の前まで行き跪くリオンとエドワード。

(おもて)を上げよ」

 セインガルド王に言われ、顔をあげるリオンとエドワード。

「今回は良くやった。まさか先遣隊だけでモンスターの襲撃を退けてしまうとは」
「はっ。ありがたきお言葉」

 セインガルド王の言葉に代表してリオンが答える。
 そもそもエドワードは一般兵のため、こういった場でも上位のものが許可をしない限り、ほぼ発言権はない。
 リオンは詳細を報告している間、緊張しつつも周りを見ていた。

(おーおー、お偉いさんがたくさんいるね。まぁ今回の手柄はリオンだからね。俺は黙って聞いているとしましょうか)

「……以上がアルメイダ襲撃に関しての報告となります」
「うむ。詳細は分かった。さすが王国客員剣士といったところだな。のう、ヒューゴよ」
「ええ、そうですな」
「……なんだ。それだけか? 息子が活躍したのだぞ、もっと誇っても良いだろうに」
「いえ、リオンであればこの程度のことはできて当たり前ですから。今回はそれが周知されただけで満足でございます」

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