3 探索と発見
魔王国
魔王宮殿
この日、魔王国では戴冠式が行われ、厳かな雰囲気の中、歴代魔王の中でもとりわけて若い魔王が誕生した。
その魔王は若さと共に、もう一つ斬新なモノを併せ持っている。
それは性別で、かつて魔王国が女王陛下をその頂に置いたのは、全く持って大昔の事なのだ。
新しき魔王は読んで字の如くを体現するかのような呼称で呼ばれる事になる。
『新魔王』
この魔王は年齢や性別の他にも、その名に相応しい"新しさ"を周囲に示していくことになる。
…………………………………
辺境伯領北部
国境地帯
辺境伯領と魔王国との国境地帯には、『亜人種』と呼ばれる人々が暮らしていた…いいや、この際だから正しく言おう。
迫害されて、そこへ追いやられていた。
そもそもこの人種がどういう人種かと言えば、指●物語の原作者から「私の設定をパクリやがって」とか言われそうな人種だ。
つまり、ドワーフやエルフ、ハーフリングなど、比較的"穏便で善良な"亜人達。
元々痩せた土地の多い辺境伯領の住人達にとって、彼ら亜人種を虐げる事は数少ない娯楽の一つであり、領主たる歴代辺境伯も彼らからその娯楽を奪おうとはしなかった。
亜人種はまた、魔族からも虐げられていた。
魔王とその配下は、彼ら亜人種を"人間との合いの子"として、同族とは扱わずに弾圧の対象としたのである。
よって亜人種は、ただでさえ痩せた土地の多い辺境伯領の、その中でもより危険でより痩せた土地である国境地帯に追いやられていた。
こんな無法地帯では治安なぞ見る影もなくなっていそうなものだが、不思議な事にこの地域でそういった類のモノはあまり見られない。
住人達には、犯罪を行うエネルギーさえなかったのだ。
"治安は良好"なおかげで、こんな危険地帯にも関わらずアンドレアスは自らの趣味に没頭できる。
彼は転生前、化学者であり、そして化学者になる前から、未知のものへの探究心に満ち溢れていた。
殊、植物においては、彼の探究心は常軌を逸していると言っても過言ではない。
だから魔王国との境目にある国境地帯ほど、彼の関心を惹きつけるモノはなかった。
魔界と人間界の合わさるこの地域には、見たことのないような植物が生茂る。
まるでここはパラダイス。
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