ハーメルン
アラサーがVTuberになった話。
89話  焼肉オフコラボ2

9月×日

「オリーブオイルってどこかな?」
「はっ、はい! ちょっと待ってくださいね。あ、あ、あと他に必要な物ありますか?」
「塩と胡椒、後はサラダボウルみたいな器があれば」
「秒で持ってきます」

 必要なものを告げると夏嘉ちゃんがテキパキと準備してくれる。なんだかお兄さんの家だと言うのに明らかに落ち着きのない様子。人見知りだったりするのかな。目の前に初対面の異性がいるのだし当然と言えば当然か。ちなみに背後からは刺すような視線を感じる。柊先輩が壁から顔だけを出してジーッとこちらを観察している。家政婦が見ていたスタイル。傍から見ると変な絵面だと思う。

 レタスを何枚か程よい大きさに千切って、軽く水洗い。芯の方は取り除いておくが、全部は捨てない。勿体無いからね。付け合わせに作るスープでトロトロになるまで煮込めば野菜が苦手な先輩でも食べられるだろう。きっと。

 先程柊先輩、夏嘉ちゃん、私の3人で食材を調達をしてきた。流石に肉だけだとバランスが悪い。後はその流れで深夜までゲームか雑談配信をしようという話になったので、お酒とおつまみや菓子類を購入。あの人値札もろくに見ずに棚の1番手前からノータイムで取っていくのが、個人的にかなり衝撃的だったのはここだけの話。流石都会のスーパーと言うか、こっちが普段通っている安売りのそれと比べるとかなりのギャップを感じてしまった。

 レジも自動精算機だったし、初めて見るので操作に手間取って2人にちょっとからかわれてしまった。恥ずかしい。田舎だとああいう設備が実装されている店舗はまだあまりないんだよ……いつも持ち歩いているエコバックだけでは足りないので、結果的に何枚かレジ袋を購入する羽目になったし。流石に買いすぎな気もするが、余った分はそのまま後日先輩の食卓に並ぶらしい。払ってもらったのだから、せめてその調理くらいは担当しようという魂胆である。電子決済って後から個人間でもやり取り出来るんだね。ああ言うの割り勘とか便利そう。接待費とかも電子決済でやってるところ多いんだろうか。データとして残るから後々からまとめたりするの便利そうだし。

 今度別の機会があれば、その時は私が支払う事にしよう。こういうのは気にしない人は気にしないのかもしれないが、私自身がそういうのを許せないのだ。

 キッチンに立つ私の後ろでパタパタとルームシューズが忙しく動き回る音が聞こえる。サイズや可愛いクマさんのデザインから察するに夏嘉ちゃん専用のシューズなのだろう。マジで通い慣れてるんだなぁとか、ほのぼのとした気持ちになる。私や妹に対して仲が良すぎるとか、ファンの人からよく言われるのだが……やはり世間一般の兄妹も似たようなものではないか。寧ろもっと仲良くしても良いのでは?

 ちなみにサラダは千切ったレタスにオリーブオイル(なんかすごい高そうなやつ)と塩(なんかすごい高そうな岩塩)とコショウ(なんかすごい以下略)適量をぶっかけて、後はトマトときゅうりを添えてハイ終わり。これが案外サッパリと美味しいのだ。特に今回みたいな味の濃いお肉の付け合わせとしては中々良いチョイスなのでは? 野菜嫌いさんは嫌がるとは思うが。

 甘辛の出来あいのタレだけでは面白みがないので、大根おろしの和風でサッパリ頂くもの、塩コショウで食べるといった具合だ。大根もえらい立派なので、余った分は冷蔵庫に戻しておくとして……葉っぱの部分もそのまま捨てるには勿体ない。

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