94話 ひと狩りいっとく?
10月×日
無事ラジオ収録を終えて自宅へ戻った。結局マイシスターへの土産物は葵嬢の意見も参考にさせてもらった。パンケーキ好きということもあって、パンケーキをイメージしたクッキーらしい。ラングドなんちゃらとかハイカラな名前だった気がする。若い子にも人気なんだとか。当人も喜んでいたし、良かった。「お兄ちゃんにしてはセンスが良い」と褒められた。まるで普段のお兄ちゃんがお土産選ぶセンス皆無、みたいな言い草は止めていただきたい。割と何でも喜んで受け取ってくれるじゃないか……
彼女には感謝しよう。彼女と別れた後お土産買い終わって、新幹線を待っていたタイミングでメッセージアプリで連絡が来ていたが、えらい畏まった長文。もうこれお酒入ったりしてない? あるいはこれからお酒入れる気だったりしないだろうか? ひとまず、『お酒はほどほどに』と返しておいた。
その直後にちょっと怒ったアニメキャラのスタンプが送られてきた。あれ……? 何か間違った? しかし、SNSを確認したところつい先程お酒購入した旨のツイートをしたようだ。いや、間違っていなかったんじゃないか。ふぅむ……?
◇◆◇◆◇◆
「今日はお疲れさまでした」
「いえいえ、こちらもこういう機会をいただけて大変勉強になりました」
「近日中に新作の体験版を前回同様にプレイしていただく案件もありますので、そちらもよろしくお願いします」
「はい、承知しております。一応事前にゲーム内容のチェックだけお願い出来ますか?」
「えぇ。それは勿論。過度な露出等あれば修正していただけるように打ち合わせ済です。細かい箇所は基本的に前回の案件時と同じような形です」
と言うまあ、特に面白みも無い業務的な打ち合わせがあった。前回くりぃむソフトさんのFlower Daysと同じように体験版を先行プレイする運びだ。以前もやっていたのだが、配信に載せても問題ないようなものであるかは事務所にも確認してもらっている。一応配信用に肌色面積控えた物としてメーカーさんから配布はされるのだが、こういうのはダブルチェックは大事だと思うの。中身もろくにチェックせずにただ押印するだけの名ばかりのダブルチェック、トリプルチェックが横行している現場も多いことだろう。そう言うので一番痛い目を見るのは直接お客さんの相手をしている営業マンだ。
何かあってチャンネルがBAN、だなんてことになったら目も当てられない。Vtuberにとって1番痛手になるのがチャンネルのBANであるのは言うまでもない。何しろ根本である配信元が抑えられてしまったら、サブチャンネルを開設するかコラボで時間を稼ぐか、素直に活動休止するしかない。別のプラットフォームでの配信と言うのもあるにはあるが……なんにせよBANされないのが1番だ。
本来私自身が事前にチェックすれば良いのだが、ゲーム関係は初見での反応が肝だと思うので申し訳ないが事務所の方にお願いしている。快諾してくれたのだが、あのお洒落なオフィスで美少女ゲームをテストプレイする光景は中々想像出来ない。ちょっとその様子を見てみたい気もする。
一先ず、案件前に前作をもう一度プレイしなおして復習しておかねば。ちなみに製品版を頂いた後CGと回想が100%になるまではやった。回収率が100%表記になっているものの、回想シーンの枠が何故か余っている仕様だった点が少々気になった程度であるが。概ね読み物というか、ストーリーメインのゲームとしても素晴らしい出来栄えだったと思う。
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