96話 片付けオフコラボ
10月×日
「うっわぁ……」
「なぁにこれぇ」
「…………」
柊先輩、朝比奈先輩がそこに足を踏み入れて一言目がそれである。ちなみに私はその有様に思わず閉口していた。
「一言目がそれってちょっとおかしくないですか?!」
と言うわけで、オフコラボと言う名の片付け配信である。御影君のお家にお邪魔したのだが、兎に角物が多い。とりわけ目立つのが通信販売のダンボール等の梱包類。これでも飲食宅配サービスの容器などは事前に片付けたとのこと。まあその辺は匂いとか、衛生面的なところもあるし彼なりに気を遣ったのだろう。実は配信映えするようにわざと汚してるとかそういう可能性も有り得る……のか…………?
先月柊先輩宅を片付けたときは主にSNSでその模様を呟いていたのだが、配信を望む声が多かった。顔出しの配信と違って、リアルタイムにその様子を視聴者に伝える事は出来ないので需要があるなんて思ってもいなかったがオフでこうしてワイワイしているだけでも一定数の需要はあるらしい。とは言え、音声オンリーなのは流石に視聴者さんにも申し訳ないので、適宜写真を撮って配信画面に載せるといった形を予定している。勿論、特定されないように写真は輪郭がわかる程度にボカしたりなど加工はする。最近は便利なものでそういったツールがあってボタン1つでパッと出来てしまうのが凄い。
挨拶も早々に配信開始をする。
「はーい、片付け配信です。後輩のお部屋を掃除する面倒見の良い先輩の柊です」
「立ち絵ほぼ動かないので注意。後輩のお部屋のベッドの下を見に来た朝比奈です」
「動かないと誤BANされるんでしたっけ? ネタのために頑張る出来た後輩の御影です」
「コメント欄キャプチャして出しておくといいかもですね。えーっと、ご飯担当の神坂です」
マジでやるの草
G級討伐クエストキタ―――(゚∀゚)―――― !!
自己紹介雑ゥ!
ベッドの下あくしろよ
事前にそれなりに宣伝していたとは言え、凄い勢いでコメントが流れて行く。もっとも作業中はろくに配信画面を見ることも出来ないのだけれども。放送事故にだけは気を付けなくては。
ベッドの下をおもむろに覗き込む朝比奈先輩。何やら納得いかない様子で、今度はスマートホンのライト機能を使って再度腰を屈めて覗き込む。相変わらずスッキリしない表情のまま、御影君の肩にポンと手を置き叫ぶ。
「ベッドの下何もないじゃん! エッチな本くらい仕込んどきなよ!」
「昨今ベッドの下に隠す人なんて早々いないっすよ……朝比奈先輩」
ガッカリだよ
何もないんかーい
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