ハーメルン
アラサーがVTuberになった話。
1話  長時間配信

 前回までのおさらい

 過労死しかけて会社を辞めてVtuberデビューを果たすも、翌日同僚死す。デュエルスタンバイ!
 おお、ハセガワァ! しんでしまうとは なにごとだ――大事じゃぁ、ぼけぇ!
 


3月×日

 同期が死んで1週間。ハセガワ某君とは別に親しい間柄でもないのだが、デビュー後すぐに同期がいないというのは箱内で私だけなのだ。ちょこちょこゲーム配信やってみたりするものの、視聴者数やチャンネル登録者数は増えない。初回こそは1万人近くの人が見ていてくれたものの、2回目以降の平均同時視聴者数は100ちょっと。企業所属としてはお世辞にも褒められない数値のようだ。ただ、罵詈雑言をコメントする所謂『アンチ』と呼ばれる人達が居ない分かなり気楽だったりするのだ。ボイスのないパートを読み上げれば、『イケボ』『声とガワは相変わらず良い』と褒めてくれるし、変な声を上げてしまったときは『草』『酷い声ww』とリアルタイムに反応してくれる。

 なまじ会社勤めの頃にはどれだけ仕事をしても褒められるなんてことはなかったのだ。読み仮名振ってない漢字を読むだけで褒めてくれるこの箱って一体……?

「何かやってほしいゲームとかありますか?」

 少ないながらもコメントが寄せられる。

暗黒魂

魂シリーズ

ホラゲー


「あ、じゃあ暗黒魂っての今度やりますね」

あっ……(察し

ゲーム慣れしてないのにそれはアカン

難しいぞ、それ


 かなり難しいゲームみたいだ。それでもコメント多かったしなるべくそれに沿う形でやりたい。こんな面白みのない男の配信にわざわざ来てくれているんだ。そのくらいはしてあげたい。今までは1~2時間程度で終わるフリーゲームをメインにしてきたが、ここらで長期プレイできるゲームに挑戦するのも悪くないだろう。


3月×日

 SNSでの暴言なんかもめっきり無くなり、配信の告知なんかには放送によくコメントをくれるリスナーが反応してくれる。昔から友達少なかったし割と嬉しい。毎度毎度裏では他先輩方の配信もあるのに、わざわざ自分みたいな底辺ライバーの配信を見てくれている……感謝だ。

 先日やると宣言した暗黒魂のソフト買いましたと報告すると、何故かいつもより多くの反応があった。何故だ?


柊冬夜@Hiiragi_underlive
返信先:@kanzaka_underliveさん
そこから先は地獄だぞ              


 と、あんだーらいぶの大先輩。最初期デビュー組にして箱推しから認められた数少ない男性ライバーである柊冬夜先輩がリプしてくれていた。件のハセガワ事件では真っ先に声をかけてくれた先輩で、個人的に頼れる先輩ナンバーワンの存在なのである。黒い長髪に赤のメッシュがアクセントになっており、右目には眼帯、全身を黒一色のコーデ。現代に転生した魔王という設定とのこと。

[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/5

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析