2話 初コラボ
4月×日
柊先輩からコラボのお誘いが来た。マリーオンカートという所謂レーシングゲームであるが、下位のプレイヤーほど強力なアイテムをゲットできるようになっているなど割と初心者でも楽しめてしまうのである。この手のゲームは未経験だが、何とかなるのだろうか。先輩からは「くれぐれもこそ練とかしないように」とのお言葉もある。とりあえず起動して本体のアプデだけ確認しておけば良いか。
4月×日
コラボ当日である。
「今日は神坂怜君と初コラボして優勝していくぞ」
「どうもよろしくお願いします」
「初コラボのようだな」
「私友達いないので。人とゲームするなんて昔妹とやった以来です」
「神坂君と裏で話すと大体最終的に妹自慢大会が始まるんだよね」
「妹って世界一可愛いじゃないですか」
「だよなぁ!」
実は柊先輩も妹がいらっしゃる。同じく溺愛する妹スキーとしては共感できるところは多いのである。共通の話題が妹って正直どうなんだろうか、なんてのは気にしてはいけない。
シスコンビ
妹さんを僕に下さい
は? 妹ちゃんは俺のだからな
「先輩の妹さんってリスナーさんの間でも有名なんですね」
「メン限とか深夜にたまに一緒に配信でゲームやってるからな。ウチのママがわざわざ立ち絵まで用意してくれてるし。何なら差分俺より多いんだが」
「私この前の配信で妹の声が微妙に乗ってたみたいで、本人は別に消さなくていいよーって言っていたんですけれど」
「ああ、あれね。切り抜きも上がってたね。ホントよく気が付くよね。リスナー有能すぎない?神坂君は妹ちゃんと配信したりする予定あるの?」
「本人はあんだーらいぶ箱推しみたいなので興味はあるかもですね。今度聞いてみます」
妹ちゃん出番あると聞いて登録してきたわ
寧ろお前が引退して神妹ちゃんがデビューすれば良いのでは?
ほんそれな。うちの妹世界一可愛いし、歌上手いし、料理ちょっぴり苦手だけどそこがまた可愛い。何なら私の切り抜き動画で1番再生数多いのがマイシスターの声バレ切抜きですしおすし。最高ランキング50位。つよい(確信)
「うおおお、曲がれ曲がってくれ俺のハチロクゥ!」
絶賛最下位の柊先輩。尊敬する先輩が滅茶苦茶下手糞だった件。ちなみに私は6位と可もなく不可もない位置。
「いや、柊先輩のそれハチゴーじゃないっすかね?」
「DA☆MA☆RE。だがまだだ。ここからの逆転……見せてやる掟破りの地元走りを――!」
そう叫んだ先輩のカートは虚空の彼方へ落ちていった。ショートカットを見事に失敗したのである。
「リアルなら板金7万円コースじゃ済まない感じっすね」
「神坂ァアアア!」
「草」
板☆金☆王
神坂ァ!草
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