72話 1万人記念初凸待ち
9月×日
登録者1万人を迎えた。通常キリの良い登録者数を超えたところで何かしらの記念枠、企画枠をするのがVtuber界隈ではある意味お約束となっている。とは言え、私が末席に名を連ねるあんだーらいぶのような有名企業勢は、昨今デビュー前に登録者1万人を超えることなどザラにある。後輩ちゃんズもそうだったので、お祝いするまでもなくそれが当たり前になってきているのが怖いところ。
今のペースを考えれば次にキリの良い数値である2万人を迎えるのは難しいかもしれない。今後更にメンバーが増えて行くと……いつまでも企業として負債を抱え続けるわけにもいくまい。いつか、どこかで区切りを付けるべき時が来る筈だ。それを考えるとこれが最初で最後のチャンスかもしれない。だからこそファンの人達に感謝を伝える意味でも何かしらやっておくべきだと思ったのだ。
マシュマロでは1万人をお祝いするファンからのコメントや、1万人記念企画でやって欲しい事が多数送られてきている。その中でも特に希望が多いのがこれである。
凸待ち。最近は獅堂先輩が逆凸企画、ブラン嬢の5万人記念凸待ち配信と先月だけで2回もあった。今月に入ってまた擦るのも視聴者からするとうんざりとされそうではある。とは言え、記念枠と言えば凸待ちみたいな印象があるのもまた事実。ベースの企画はこれで行ってみよう。
ここで問題になって来るのは誰が来るか、である。同じ事務所在籍、男性Vという共通点がある柊先輩や朝比奈先輩であればそんなに批判が来る事もないだろう。しかし女性陣が来ると絶対荒れる……特に逆凸でなく凸待ちとするならば批判の言葉は私だけに留まらず、彼女達自身にもその的になりかねない。企画者である私は幾ら株を下げようが、批判されようが別に構わない。だが、参加者がそうなるのだけは避けなくてならない。参加してもらうなら何かしら旨味があって然るべきだと思う。それが望めないのが私という存在。
おおよそ誰を呼んでも批判される。誰が呼んだか呼ばないかで不仲だの憶測が飛び交うのも容易に想像出来る。どの道批判は避けられないのである。批判を極力避けつつ、ファンの人たちにも楽しんでもらえるような内容にするのがベスト。では一体どうするべきか――? そこである考えに至った。
じゃあ、もういっそ開き直って誰も呼ばなければ良いんじゃないか?
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