第4話 ご案内
「素晴らしい。此処は正にあらゆる叡智の殿堂だ。」
後年、トニー・スタークはTF達の母星を訪れた際、思わずこう漏らしたと彼の自伝によって伝えられている。
なお、
「ぼくここにすむ!」
「トニー、ハルクに殴られるのと素直に帰るのどっちが良い?」
その直後に交わされた会話が記録されているのはユニクロン内部のライブラリのみである。
……………
グリニッジ標準時 午前7時半
使節団+αは先日の説明があったホールにて朝食を摂っていた。
その壁の一部は船外の光景、即ち深淵なる宇宙と青い地球と砂の月、そして巨大な宇宙要塞という実にSFな光景を映し出していた。
「うーん、私の知る地球の最高級ホテル並みのサービスとは恐れ入った。」
「料理ももの凄く美味しかったよ。ほぼ全部見た事ない食材だったけど。」
わいわいがやがや
中型双胴輸送艦改装の外交艦アラナのサービスを一晩受けた事で、使節団の緊張は大いに緩和されていた。
また、昨夜に受けた授業によりTF側の大まかな文化に関しても教えられたため、これからの交渉内容に関しても大体の目途が付いた事もあり、外交官らは綿密な調整を行っているものの、護衛の軍人達とトニーら特別顧問らは気楽なものだった。
(今更何か話し合ったとしても、どーせ全面的に受け入れるしかないのになぁ。)
朝食を食べつつ、深刻な顔で話し合いを続ける外交官らに対し、トニーは気楽なものだった。
少なくとも、彼は以前のニューヨークの一件からずっと警告し、そのための準備を彼なりに続けてきた(実を結んだかは別として)。
だと言うのに、今更深刻な顔をして話し合った所で、焼石に水以下だと何故分からないのだろうか。
「あ、トニー。この紫色のポタージュっぽいの美味しいよ。」
「お、確かに美味いな。ポッツとモーガンも連れてくるべきだったな。」
なお、昨夜のトニーの言動は、言い含められたフライデーにより現在生まれたばかりの娘の子育て中のポッツさんに筒抜けである事を明記しておく。
「にしても、アラナさんが沢山いた事には驚いたよ。」
「元々この艦の管制担当のTFだったんだ。小型のボディを動かす位は余裕なんだろう。」
「ウルトロンみたく?」
「そうだねウルトロンだね。」
サクッと過去の所業を刺されても繊細な癖に厚顔無恥ぶりならアベンジャーズの誰にも負けないトニーは、ブルースの言葉をテキトーに流した。
「皆様、お食事中の所ですが、改めて本日の予定を説明させて頂きます。」
そこにアラナの声で艦内放送がかかった。
「本日午前10時より、外交艦アラナはスター級機動要塞17番艦スター・オブ・カノープスにてユニクロン様との謁見のご予定です。その後は午後2時まで昼食となります。終わり次第要塞内の非機密エリアにて観光。夕食は午後7時から8時半までを予定しております。」
こうして朝食を終え、身支度を終えた使節団+αが乗る外交艦アラナは、一路窓に映っていた宇宙要塞へと向かうのだった。
……………
「皆様、本艦へのご搭乗ありがとうございました。只今本艦は第27宇宙港へと到着致しました。これよりユニクロン様との謁見のため、担当者が皆様を要塞最奥部へとご案内致します。」
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