第7話 後始末
幸いと言うべきか、泣き疲れたハルクは直ぐに眠ってしまった。
そして身体は元のブルースの状態へと戻り、その後一日中眠り続けた。
ブルースを背負ったトニーはユニクロンと共に中枢を出ると、即座に殺気立った近衛部隊に囲まれた。
「貴方達、控えなさい。ブルースさんとハルクさんは病人だし、トニーさんは私を守ろうとしました。彼らを傷つける事は許しません。」
「女王陛下、貴方様の慈悲が我らの誰よりも深い事はよく承知しております。しかし、だからと言って我らが大始祖たる貴方様がその様に傷つけられれば、我ら一同その下手人に対して激怒するのは当たり前の事なのです。」
意訳:オレらのビッグマムに手ぇ出されて黙ってるなんて出来やしません!屑の家系を絶ってやる!
そんな副音声が聞こえてきそうな程度には最精鋭の一角たる近衛部隊のTF達は殺気立っていた。
「これは……まぁ確かに治療の一環とは言え、気分の良い事ではないですね。」
ハルクによるダメージをそのままにここまで来ていたユニクロンはその右肩に目を移す。
その服装も先の一撃の際に乱れており、服とインナーのあちこちが破けて素肌(生体組織による人工皮膚)が晒され、特に胸元は谷間がほぼ丸見えになっている。
成程、状況が分からない第三者が見れば、それこそ性犯罪の被害者にすら見えるかもしれない。
「よっと。」
そんな軽い掛け声と共に、ユニクロンの人型女性端末の右肩から先が一瞬で再構築される。
次いで、衣服もまたものの数秒で再生し、元の状態へと戻った。
トニーは自らもまた造詣が深い故にそれがナノマシン技術によるものだと即座に看破、同時にその見事な肌色の芸術もまた脳内へと深く深く刻み込んだ。
『やはり殺そう。』
『辺境の炭素生命体に慈悲など無用。』
『いや待て。大始祖様の前ではバレるぞ。』
『貴方達全部聞こえてますからね???』
トニーのスーツの下の視線の動きを感知してか、俄かに近衛部隊の通信量が殺意と共に増大する。
が、我らがホラクロン様にはお見通しなので、一斉に通信が沈黙した。
「取り敢えず、ブルースさんとハルクさんは医療施設に移しましょう。トニーさんは付き添いをお願いしますね。」
「女王陛下、私の友人への御慈悲、本当に感謝致します。」
「いえいえ、貴方方からの情報はどれもこれも興味深くて楽しいものです。この位なら苦労ではありませんよ。」
「こちらこそ。機会があればこのトニー・スターク、必ずや女王陛下のお役に立つ事をお約束します。」
「ふふ、期待させてもらいますね。」
こうして、殺気立った近衛部隊に囲まれてだが、トニーとブルース&ハルクは一先ず医療施設へと搬送される事となった。
『彼らには他の端末を付けます。異論は無いですね?』
『『『『『御意。』』』』』
無論、念入りに釘を刺されたため、TF達が三人を秘密裏に始末する事はなかった。
……………
【大始祖様】ユニクロン様を見守り隊1145141919スレ目【万歳!】
1 名無しのTFさん
・ここは我らが大始祖・創造主・星母たるユニクロン様の日々の暮らしを見守るスレです。
・荒らしは厳禁です。大始祖様に怒られるならご褒美ですが、過激派が来襲する場合もあります。
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