第004話:刮目せよ、これが日常パートだッ!!
[タカミチ]
「……やれやれ。正直言わせてもらえば、近衛学園長はタヌキもタヌキ、大狸だったね。」
「いや、済まないネギ君……。」
「タカミチが謝る事じゃないよ。まあでも、お互いにある程度の理解はできたと思うよ。少なくとも僕が、この麻帆良学園都市に害を為す存在でない事は、わかってもらえたかと。
あの、「孫と見合いをせんか?」とか「この学園の男子中等部に留学生として通わんか?」とかの言葉が出始めたのは、会見の半ば以降だったからね。それまでは、万が一にも言葉尻を捉えられない様に晦ました言い方に終始してたから。」
……なるほど。それまでは学園長は、ネギ君と言う存在を推し量る事に集中していた、と言う事か。流石と言うべきかな。僕の報告だけでは信じずに自分の眼で確かめた学園長も、それを理解しつつ学園長と相対したネギ君も。
「でもまあ、それはそうと。やはりただ者では無かった、と思うよ。結局今日は、魔法世界の住人を救う計画について何一つ訊かれなかったし。実は空間歪曲庫の中に、その計画について解説、説明する書類を山の様に詰め込んで来ていたんだけれどね。全部出せば、あの学園長室が3つ埋まるぐらいの量。」
「え。」
「必要とあらば、あの場で情報を公開して、利害でがんじがらめにして、無理やりにでも協力者になって貰おうかと思っていたんだよ。それを避ける方法は、ただ1つ。交渉をしない事。
たぶん学園長は、僕がこちらから出す情報ではなく、自分で集めた情報を主体にして、僕の計画を確かめるつもりなんだろうさ。まあ、僕は騙すつもりは無いけれど、僕に騙されないためにはそれしか無いだろうね。ふふふ。」
ネギ君の計画……。何度か彼がその断片を口に出すのを聞いて、多少だが気付いた事がある。ネギ君は「魔法世界の住人を救う」とは言っているが、「魔法世界を救う」とは言っていない。
「ネギ君、僕に君の計画を聞かせてくれないか?今までは、訊きたい気持ちを抑えていたが……。」
「学園長は、関東魔法協会の理事もやっているし、学園と学園都市に対して責任を持っている。だから訊かなかったんだよ?」
「……最悪の場合、僕個人で協力するさ。まあ、もしも論外な計画だったら反対するし、まずい場合でも修正の余地があるならば修正案を出すなりするよ。」
「そっか……。正直、自分だけで計画を考えて遂行するのは辛かったんだよ。頭が1人分増えるのは、ありがたい。
……だけど今は駄目だ。」
「何故だい?」
僕の疑問に、ネギ君は右手親指で明後日の方角を差す。そこには大量の本を抱えて、階段を降りようとしている1人の女生徒、宮崎君の姿があった。
「僕の魔法的知覚力の範囲に引っ掛かった。これ以上近寄ると、耳が超絶に良い人間だと、声を聞きとれるかも知れない。まあ普通なら無理だけど。」
「ああ、そう言う意味で話せないって言ったのか。」
「そうだよ。……でも、あの女生徒あぶないな。ちょっと声をかけて手伝おうか……あっ!」
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