ハーメルン
ロドス劇場
とある配達員のバレンタインデー

──ん?ああ、君たちか。前に見せた彼とその周りが繰り広げたアレは楽しんでいただけたかな?……え?今度は別の平行世界の場合が気になる?まあ、気持ちはわからなくはないがそう簡単には……おっと、人の話は最後まで聞くものだ、だから早々に帰る支度をしないでくれ。今回はサービスとして彼がとある会社の配達員としての道を歩んだ世界の場合をお見せしよう。……彼女も気になってたみたいだしね。ん?ああ、すまない。こっちの話だ。さて、そろそろ待ちくたびれただろうし、見てみようか。丁度、面白いところから始まりそうだからね。



****




「……」

この日、ソラは……いや、ペンギン急便の女性陣は一様にソワソワしていた。それは何故か?それは至極単純で、今日がバレンタインだからである。
そしてそんな彼女らが渡したい人物は、今日に限って指名の配達依頼が何件もあったせいで、眠そうなのにも関わらず早朝から慌ただしく配達業務をこなしに行き、そして現在も帰ってきていない。

(早く帰ってこないかな……)

「ただいま戻りましたー」

そんなソラ達の願いが届いたのか、ドアが開く音と同時に待ち望んでいた人の声が彼女達の耳に届き、全員が椅子から立ち上がって入口の方へ顔を振り向かせる。

「ヤマト!おかえ…り……?」

「やあ、久しぶりだね」

が、振り返った瞬間全員が固まった。固まった理由には、ヤマトが片手に持っている紙袋から何かを包んだ包装用紙が溢れるほどに詰め込まれているのもあるが、問題はモスティマがそのヤマトと手を繋いでいる…しかもいわゆる恋人繋ぎをしていることであった。

(まさか、モスティマさんもヤマト君を狙ってるの…!?)

以前あった騒動後の会議において、モスティマがヤマトに気があるということはない、とエクシアから聞いていたのにと思ったソラがエクシアの方を見ると、その彼女も驚いたような顔をしてモスティマとヤマトを見ていた。
そしてそれを見たソラ、テキサスそしてクロワッサンはエクシアにとってもモスティマがこのような行動をしてくるとは全く予期していなかったことだと、把握した。

「帰りにたまたま会ってね。彼に渡すものを渡して早く退散しようとしたら、「エク姉が会いたがってるから来てください!」って言われて、逃げられないようにこんな情熱的な感じで、手を繋がれて連行されてきたのさ」

「な、なるほどね……うん?」

そしてそれを察したのであろうモスティマが、手を繋いでここまで来た経緯を軽く説明する。聞いてみれば案外単純な内容であり、恋人繋ぎもあのヤマトならば有り得ることでもある。というより、周りから視線を向けられている張本人が「?」を浮かべているような顔であるため、ほぼ間違いないだろう。なので、全員が納得しかけたところでエクシアがあることに気がつく。さっき、モスティマは説明の中で「彼に渡すものを渡して早く退散しよう」と言っていた。
そして今日はバレンタイン。その事から導き出される答えは…。

「ああ、忘れるところだった。ハッピーバレンタインという訳で、ヤマト君にはこれをあげよう」

「え、これって…!予約1ヶ月待ちで有名なあのチョコ…!?」

「ああ、君は甘いものが好きだとエクシアから聞かされていたからね。頑張ってる君のために奮発してあげたのさ」

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