コミュ障狼×酒盛り=???
「うぅ…私だって、龍門の全ての人のことを思って…ひっく…」
「ああ、もう。隊長にラップランド殿。飲み過ぎですって…」
「えへへ……やまとぉ……」
「………(あわわわ、俺はど、どうしたら?)」
ある一室にて、顔を真っ赤にして泣きながら心の内を吐き出すチェンとそれを対処しているホシグマ、明らかに酔っ払っているラップランドにそんな彼女に抱きつかれて慌てているヤマトの図が広がっていた。
何故こうなったのか?それを解明するには時間を少し遡ることになる。
****
「ヤマトは、お酒を飲んだことはあるのか?」
「え、いや、無いですけど…」
ヤマトの部屋にて。この時は珍しくチェンとヤマトのみしかおらず、話題が尽きたチェンが唐突に出した質問に、ヤマトは「?」を浮かべながらも首を振って答えた。
それに対し、チェンは「そうか」と呟くと、今度は飲める歳なのかどうかを尋ねた。これにはヤマトは首をこくんと縦に振って肯定の意を示した。
「グッ…ンンっ!…それなら今夜ホシグマ、ああ私の部下なんだが彼女と私で酒を飲もうと思ってるんだが、どれぐらい飲めるかを確かめるついでに一緒にどうだ?」
「えっと……」
チェンの問いにヤマトはどうしようか迷った。ヤマトの傭兵時代は年齢的に合法ではなかったのと、ある事情で周りが飲んでる中、自分だけお茶やジュースというのが常であり、飲んだことは無かったためお酒を飲んでみたいという欲求があるのは事実だが、酔っ払って友人のチェンはおろか、見知らぬ人であるホシグマにまで迷惑をかけたくないという思いがあるのもこれまた事実。
チェンはウンウンと悩むヤマトを見て、彼がどう言ったことで悩んでいるかをすぐ察し、助け舟を出すことにした。
「別に、酔っ払っても迷惑だとは思わん。ホシグマだってお前が酔っ払ったところでなんとも思わんから、気にするな。まあ、私の言葉が信じられないなら断っても構わないが」
「そ、そんな事ないよ!それじゃあ、俺も参加させてもらうよ?」
「ああ、わかった」
チェンは最後の方に敢えてキツイ言い方をした。チェンとて、ヤマトと交流する機会はそれなりにあったので、どういう言い方をすればヤマトが納得するかは心得ている。その結果としてご覧の通り、ヤマトを参加させるところまで漕ぎ着け、その事実にチェンは内心ほっと息をつく。
ところで、なぜチェンはこんなことを提案したのかというと、とある案件でラップランドに説教をかました後に彼女が「今度は酔っ払った反応も見てみたいなぁ…」と呟いたのが耳に入り、このままではヤマトが(色んな意味で)危ないと感じ、止められなかった場合のことを考えて(本当はその前に阻止したいが)、ヤマトに自身のボーダーラインを把握させるためだ。
ボーダーラインを把握していれば、すぐに酔っ払うことはなくなり、ラップランドにいただかれる(意味深)可能性も低くなる。……無論、ヤマトと一緒に酒を飲んでみたいという欲がない訳では無いが。
「あ、おつまみ作ってこようか?」
「いや、別に……待て、お前は酒のつまみも作れるのか?」
「うん、作れるよ」
チェンはヤマトがお菓子以外のものも作れるのは知っていだが、まさかおつまみも作れるということまでは知らなかった。ヤマトの腕なら、どれぐらい美味しいものが食べれるのだろうか?チェンはそう考え、ヤマトに作ってくれるように頼み、頼まれた本人は笑顔で「任せて!」と言い、場所は参加する3人の中の部屋の位置的に、ヤマトの部屋が丁度中間のため、ヤマトの部屋になりこの場はヤマトがおつまみを作るため解散となったのだった。
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