ハーメルン
ロドス劇場
喧騒の夜に紛れる狼(下)


「いやいやボケてる場合じゃないでしょ?てか本当に爆弾だったらちょっとまずいんじゃない?」

ヤマトの天然発言にエクシアがツッコミをいれる中、ヤマト達は変わらず敵に囲まれており、向こうは彼らを待ち構えているようでもあった。

「全く反応がない…ふむ、そういうことか。二手に別れるぞ。ソラ、クロワッサン、エクシア、ヤ…そこの少年で残った敵を制圧する。バイソンとモスティマは置き土産の処理を頼む。もうすぐ日の出だ、時間は限られている」

テキサスは1人納得したような表情をすると、流れるように指示を出し、指示を出されたヤマト達は指示通りに散開した。

*****

「先程の戦いは安魂夜のイベントみたいなもの…だったのかな」

ヤマトは多くのキャンディが空から降ってくる中、そう呟いた。敵はあっさりと敵意を無くして散っていったため、ヤマトは気を抜いていた。
だからこそ、こちらに走ってくる存在に気づくのが遅れた。

「はぁ、はぁ…ねえ!そこのループスの人!」

「……?あんたは……」

「やっぱり!あの時助けてくれた人ね…やっと見つけたわ…」

走ってきたのは、マフィアの男達に絡まれているところを助けた女性であった。ヤマトは何故自分を探していたのか分からず頭の中に疑問符を浮かび上がらせていた。

「……何か、用か?」

「え、ええ。私、リーシーって名前なんだけど、名前聞かせてもらえる?」

「?ヤマトだが……」

「ヤマト、そうヤマトっていうの……」

女性は噛み締めるようにヤマトの名を何度も呟いた。一方、当のヤマトはいきなり自己紹介されるわ、名前を聞かれるわで訳が分からず困惑する限りだ。

「……それだけか?」

「あ、あともう一つだけ。ちょっと屈んで目も瞑ってもらえる?」

「?別にいいが…」

何をされるのだろうか。ヤマトは少し不安に思いながらも膝を少し曲げて屈み、目を瞑ると──頬に柔らかい感触が伝わった。

「────!?」

「取り敢えずはこれだけで勘弁してあげる!次会うときまで覚悟しててね?それじゃ、助けてくれてありがとう、ヤマト」

リーシーと名乗った女性は、「じゃーねー!」とヤマトに告げてその場を走って去っていった。一方残されたヤマトは、頬にキスされたことを処理しきれず固まっていると、急に飛んでもない圧が彼にのしかかると同時に両肩を誰かに掴まれた。

「へー、ヤマトくんって私たちが大変な思いしてる時にナンパなんてしてたんだー、へー……」

ヤマトは何で自分のことがバレてるのかと、疑問に思うがそれよりもとてつもない圧を発するソラに怯えながらも必死に弁解する。

「………ナンパした記憶はないし、俺はヤマトというループスでは……「フード邪魔だねー」あっ……」

「……やっぱりヤマトくんだねー。なんか、キミとはシエスタ以来話せてないし、どう話せばいいか分からなかったけど…今日はみっちり話そうか?」

目が据わっているソラに対し、ヤマトは頼りにしている人物でもあるテキサスに助けを乞うも──

「て、テキサスさ……」

「…ソラ、私の代わりに頼んだぞ」

あっさりと断られてしまい、退路を失ったヤマトはかわいた笑みしか零れなかった。

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