天然タラシ狼とバレンタイン
少し恥ずかしげにカッターがヤマトに渡したのは、昨日作ったバニラ味のカップケーキの上にチョコのホイップクリームが付け加えられていた物であった。
「君は甘いものが好きということを聞いたから、少しでも甘くなればと思って付け加えさせてもらったんだが……」
「……ドクター」
「ん、いいよ」
「ありがとう…それじゃ、はむっ」
不安そうなカッターを見たヤマトがドクターに声をかけると、彼が自分に何を聞こうとしたのかすぐに察したドクターはただ肯定だけし、ヤマトはお礼を言うと、カップケーキを食べ始めた。
「……」(モグモグ)
「………その、味はどうだろうか?」
「……甘くて美味しい。俺好みだ」
「良かった……あ、そろそろ私も仕事に戻るよ、それじゃっ」
「あっ」
ヤマトの感想にほっとカッターは息を吐いたところで、さっさと部屋を出て行ってしまい、まだカップケーキを食べ終えていないヤマトは「しまった」というような表情を浮かべ。
「お礼言えなかった……」
(うーん、これってカッターがヤマトに対してもしかするともしかするのかな?)
お礼を言えなかったことに後悔しているように声を出し、一方でドクターはそんなことを考えていた。
なお、ドクターはこの後アーミヤから手作りのケーキを貰え、気を利かせて2人きりにしてくれたヤマトのおかげで、いいバレンタインデーになったとかならなかったとか。
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