ハーメルン
銀子ちゃんを可愛い可愛い×5するだけの話(+短編集)
短編 夏の日の1頁
──おでかけデートとは何か。
それはその名の通り、恋人同士がおでかけしてデートをする事を言う。
「いい天気ね、八一」
「うん、そうだね」
空を眺めながら銀子ちゃんが呟く。
これは確かにいい天気だ。こういう天気であれば絶好のおでかけデート日和と言えるだろう。
「ほら、風も気持ちいい……」
「そうかな?」
思えばこのおでかけデートという言葉。これはよくよく考えてみると不思議な言葉だ。
だってデートといったら言うまでもなくおでかけをする事だろう。であるならば、わざわざ言葉の頭におでかけと付ける必要は無い。
だからこれはきっとおでかけをしないデート、つまりおうちデートという考え方の隆盛がそのキッカケにあるのだと思う。
互いに想い愛し合う恋人にとって、家の中でおうちデートする事だって選択肢の一つになってきたからこそ、その対局にあるおでかけデートという言葉が生まれたのだろう。
「あ、なんかいい匂いがする。なんの香りだろ?」
「どうだろう。俺にはちょっと分からないかな」
そして今ここに居る二人、俺こと九頭竜八一と空銀子ちゃん。
俺達は互いに想い愛し合う恋人であって……そして俺達にとってのデートというのは、普段からおうちデートの頻度が圧倒的に多い。
その理由としては、銀子ちゃんは超が3つ付く程の有名人なので、外出して身バレでもしたら色々と面倒くさい事になりかねないという事。
他にも銀子ちゃんがインドア気質なので人混みを嫌っていたり、直射日光が駄目であったりと。
そしてお互いにとって共通の趣味……というか、まぁ要するに結局は将棋が一番楽しくて、盤を挟んでいる時間が一番至福であったりと。
それらの事情が合わさって、俺と銀子ちゃんのデートはおうちデートが多めになっている。
「ちょっと遠かったけど……でも、やっぱり来てよかったね」
「そうだね、そうかもしれないね」
そして、俺達は普段からおうちデートの頻度が圧倒的に多めだからこそ……今日はおでかけデートをする事にした。
そこはほら、一応カップルだしね。勿論おうちデートだって悪くは無いんだけど、やっぱり恋人同士になったからには、もっと色んな所に行って色んな事をしてみたいよね。
だから今日はおでかけデートだ。俺も銀子ちゃんもよそ行きの整った格好をしている。
一応俺の方でデートプランの大枠は決めてあるけど、しかしそこは臨機応変に。今日は銀子ちゃんの行きたい所に付き合ってあげるつもりだ。
「ほら、八一……」
とその時、隣にいた銀子ちゃんが眩しいものを見るかのようにその目を細めて。
「どうしたの?」
「見て……古都ローマの町並み……凄く綺麗……」
あぁ、本当だ。
俺達の眼下に広がる景色、ローマの町並みは思わず息を呑んでしまう程に美しい。
今日はおでかけデートという事で、俺と銀子ちゃんは遠くイタリアはローマまでやって来た。
やっぱりおでかけデートと言うからにはね、これ位のおでかけはしちゃうよね、うんうん。
──なわきゃない。
いい加減この茶番に付き合うのも虚しいので、そろそろ本題に入る事にする。
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