ハーメルン
銀子ちゃんを可愛い可愛い×5するだけの話(+短編集)
2. 四人の話
「……それはそうなんじゃない? 何なら私と高校生の私で対局してみる?」
「なるほど、それも面白そうだね。……て、そう言えば2面指しなんて言ったけど、そもそもこの部屋ってタブレット一つしか無いんじゃ……」
「あ……」
……と、そんな時だった。
混沌としながらも落ち着いてきたこの状況。それを更にカオスに陥れようとする新たな刺客が。
「ただいまー」
「──はッ!?」
鈴が鳴るような可憐な声。
それを聞いてすぐ、全身がぞわっと総毛立つような感覚に包まれる。
ただいまーと言って玄関のドアを開けたその人物が誰か、俺には即座に分かった。
ここまでの展開で気付くかと思うが、それは銀子ちゃんだ。だって声が銀子ちゃんだった。
しかしそれは銀子ちゃんの声じゃない。
ここに居る高校生や中学生の頃の銀子ちゃんの声ではなくて。
より具体的に言うともっと幼い声。今よりももう少しだけトーンの高い声で。
まさかと振り向いた俺の目に映ったのは──
「ら……ランドセルッ!?」
思わず叫んでしまった。
だってだって、そこに居た三人目の銀子ちゃんの背中、そこには真っ赤なランドセルが。
それは言うまでも無く小学生の証、汚れなきピュアな証であって、それを背負っている銀子ちゃんという事はつまりつまり──!
「しょ、しょしょ、小学生銀子ちゃん!? スゴいスゴい、本物だ!!」
何が本物なのかよく分からないが、とにかく俺はテンション爆上げだった。
だって小学生銀子ちゃんが居るんだよ!? ロリ銀子ちゃんが、ロリ銀子ちゃんがココにッ!!
「おいロリコン」
「本物はあんたのロリコンさ加減でしょうが」
とそんな言葉が聞こえたような気もしたが、まぁ気のせいだろう。生憎と今の俺の耳には高校生や中学生の言葉はもう届かないのだ。
なので俺は玄関までダッシュして駆け寄り、震える手で幼い彼女の両肩をがしっと掴んだ。
「きゃっ!」
「はぁぁあ……、マジモンの、マジモンの小学生銀子ちゃんやんけ……!」
俺の瞳に映るいたいけな少女。紛うことなき小学生の頃の空銀子ちゃん。
それは言うまでもなく可愛くて可愛い。背丈も随分と小さくて、この子には珍しいロングヘアー時代の銀子ちゃんがここに居る。
さらさら揺れるロングの銀髪が滅茶苦茶綺麗だ。けどその美しさと相反するかのように顔付きはとても幼くて……駄目だ、可愛い、可愛すぎる……あ、ヤバい、なんか鼻血出そう。
「え、なに、誰あんた!?」
「誰って、八一だよ! 分からない?」
「え、やい……ち?」
「そう、九頭竜八一」
「……うそ、八一って……確かに似てるけど……」
別人だと疑っているのか、銀子ちゃんは俺の顔をぺたぺたと触り始める。可愛い。
先程の中学生銀子ちゃん然り、恐らくその年齢の銀子ちゃんはその当時の知識しか持ち合わせていないのだろう。だから当然、小学生の銀子ちゃんが知る俺とはその当時の俺になる。
然程年代に開きのない中学生の銀子ちゃんはこの俺をすぐに九頭竜八一だと分かったようだが、さすがに小学生の頃の銀子ちゃんとはかなり年代の開きがある事もあって、この俺が自分の知っている九頭竜八一と中々重ならないようだ。
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