ハーメルン
銀子ちゃんを可愛い可愛い×5するだけの話(+短編集)
2. 四人の話
えぇ!? 中学生銀子ちゃんまで!?
「ちょっと待ってよ! それどういう……俺は十分カッコよく成長してるよね? ね!?」
「……さぁね。ロリ道に堕ちなければ少しはマシだったんだけど」
すると高校生の銀子ちゃんまで俺に更なる追い打ちを重ねてくる。き、厳しい……。
まぁ本当にカッコよく成長したのかって聞かれると断言は出来ないんだけどさ。けれども高校生の銀子ちゃんとは恋人同士、正真正銘この俺の彼女な訳だし、彼氏にもうちょっと愛のある言葉をくれたっていいのに……のに……。
まぁともあれ、だ。なにはともあれ、これで四人揃った事になる。
四人というのは実に座りが良い。さっきまでとは違ってこれで2・2の対局が出来るからね。
だからここはひとまず三人の銀子ちゃん達みんなで将棋をしよう。俺達の間にある問題は将棋が全て解決してくれるはずだ。
あーでもそうださっきも言ったけどタブレット端末が無いんだよな。これは不便だ。このマンションは将棋会館から近いし、こうなったら安物でいいから盤と駒を買ってくるか……。
……とはならなかった。
何故なら俺の理性を真に殺す存在。それは小学生銀子ちゃんではなかったから。
小学生をも超える最強の刺客、それは別にいた。すでに最初からこの部屋に居たのだ。
「……んー」
そんな微かな声が聞こえたのは、部屋の隅で敷きっぱなしになっていた布団。
その毛布がもぞもぞと蠢く。それはどうやら敷きっぱなしではなく使用中だったらしい。
確かによく見るとちょっとだけ毛布が山のように膨らんでいる。けどその膨らみは注視しないと気付けない程に本当に僅かなもので……。
「……むぅ、うるさい」
「……あ」
お昼寝から目覚めたのか、もぞもぞと。
毛布の中から小さな小さな頭が、美しい銀髪の頭が見えて。
「……あ、あぁ、あぁああ……!」
駄目だ。声が、震える。
その衝撃と言ったら、例えるなら落雷に直撃したようなものか。
……いや。そんなものじゃない。
だって俺にとってこの子とは、この子と出会って受けた衝撃は落雷なんて目じゃない。
「……ぎ、銀子ちゃん……」
「……だれ?」
俺を目にしてこてりと首を傾げる仕草。
その動きだけで、こうして見ているだけでもう吐きそうなくらい可愛い、愛おしい。
幼い顔。銀髪。肌がとっても白くて、その全てがあまりにも儚く透き通っている。
その子はおばけ──ではない。それは妖精か、精霊か、あるいは天使かといったところか。
そこには幼女の頃の銀子ちゃんが。
とびっきりに可愛い可愛い、俺と初めて出会った頃の銀子ちゃんがそこに居た。
「……子供の頃の、私だ……」
「わ、流石に小さいわね……」
「……で? 八一、感想は?」
「……ヘブン」
「は?」
「ここはヘブンや……」
高校生と、中学生の頃と、小学生の頃と、そして幼女の頃と。
ここには計四人の銀子ちゃんが居る。そんな世界が何処にある?
そんなものは決まってる。ここはあれだ、間違いなく天国だ。
将棋の神様が住まう世界、天国に招かれたのだと俺はようやく悟ったのだった。
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