ハーメルン
銀子ちゃんを可愛い可愛い×5するだけの話(+短編集)
5. 初日の話
そしておかしな事といえば他にもある。
キッチンや洗面所には購入した覚えのない大型家電、冷蔵庫や洗濯機などが設置されていた。
その他にも色々と、俺と銀子ちゃん達がこのワンルームで共同生活を送る準備が万全にされていて……つまりはまぁ、そういう事なのだろう。
──あぁなんて気が利くんだ将棋の神様! 本当に有り難うございます名人!
……と、いう事で良いのだろう、恐らくは。
だがそんな事を思うと同時、俺と三人の銀子ちゃん達は改めて思った。
これは絶対に現実ではない、間違いなく夢なのだと強く実感したのだった。
……え、幼女銀子ちゃん? あの子はこの押入れを見ても特に驚いてはなかったです、はい。
俺達がこの押入れを見てビックリしていたそのすぐ隣で、JK銀子ちゃんからおやつとして貰ったらしいポッキーのチョコ部分だけをペロペロと舐め取っていた。死ぬ程可愛い。
とまぁそんな訳で。
ここでの共同生活を送るに当たって、衣・食・住問題はこの通り全て解決された。
だが衣食住というのは生活する上で最低限必要なものであって、豊かな生活を送る為にはそれだけで事足りるというものでは無い。
俺と銀子ちゃん達が豊かな生活を送ろうとするならば、何は無くてもこれだけは絶対に必要な物がある。それは言わずもがな、勿論将棋だ。将棋なくして俺達は生きていけない。
だがこの部屋には将棋盤と駒が無く、あるのは将棋アプリが入ったタブレット端末が一つだけ。
俺とJK銀子ちゃんの二人きりで研究会をするならこれ一つで十分なのだが、そこに銀子ちゃんが三人増えた今となっては到底足りない。というか幼女銀子ちゃんに至ってはまだ年代的にタブレット端末を見た事が無いらしく、使い方をまるで理解していなかったし。
ちなみにそんな幼女銀子ちゃんに一度端末を与えてみた所、画面から将棋アプリを開こうとして色々四苦八苦した挙げ句に諦めたのか、ぽいっとタブレットを捨てちゃった様子はとても可愛らしかった事を明記しておく。
やはり幼女の手に最新電子機器は荷が重い。彼女の為にも現物の将棋盤と駒を買ってこよう。
そう思って俺はJK銀子ちゃんと一緒に買い物に出掛けた。関西将棋会館まで足を伸ばして、実物の将棋盤と駒、そしてあの子が好んで持ち歩いていたマグネット式の小さな将棋盤も。
他にもあの子が好みそうな将棋の指南書や解説本などなど、色々と必要そうなものをこの際奮発して買っちゃう事にした。
「八一、この本なんて良いんじゃない?」
「どれどれ……え、こんなに難しいの読める? あの子4歳だよ?」
「読めるわよ。ていうか私が4歳の頃どうだったかをあんた知ってんでしょ」
「……そうですね。考えてみたらこれくらいは楽勝で読破してたっすね、姉弟子は」
姉弟子は(ここは将棋会館の売店内なので姉弟子と呼ばなきゃいけないルールだ)俺と違って漢字に強かったからなぁ。幼女の頃は分厚い本をサクサク読んじゃうスーパー幼女なのだ。
そしてここ関西将棋会館の売店には本以外にも色々なものが売られている。中にはファン向けに棋士達のグッズなどもあって、現在空銀子に関するグッズは完売御礼が続いて生産が追いつかない中、俺に関するグッズはだだ余りだったりする。
……別に? 拗ねてなんかないし? この子に人気で勝てる訳が無い事はもう分かってるし?
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