ハーメルン
パナケイアダンガンロンパ
(非)日常編

朝、私は楼さんと一緒に倉庫を探索していた。
そういえばの話だが、最初に訪れた時以来此処をよく見ていなかったからだ。
「…広いな。」
「そうですね〜、なんでもありそうです!」
物はジャンルごとに分かれているわけでもなく、多くのものが適当に並んでいた。

「本当になんでも…ありますね。」
30分ほど見て回ったが、必要不必要に限らず物はなんでもある。その中に1つ、気になるものを見つけた。
以前訪れたときにも見かけたが、その時は手に取ることができなかったものだ。
「これ!やってみたいです〜!」

「たこ焼き器か?」
「はい!皆でやったら楽しいと思うんです〜!…しかも、ロシアンでやってみたいなぁって!」
「ロシアン…。お前結構そういう事も思いつくんだな。」
「折角集まっているんです!やるならこんな楽しみ方もアリかなぁっと!」
「まぁ、お前がやりたいなら俺も賛成する。とりあえずそれ持って食堂に行くか。」

楼さんの賛成を受けて、私は嬉しくなった。これも仲良くなれる1つの手段だと思うのだ。まぁ、私がやりたいというのが大きな理由だが。

たこ焼き器を抱えて、私達は倉庫を出る。
「重いだろ。貸せ。」
「わぁ、ありがとうございます〜!あんまり腕の力には自信がないので…、助かります!」

「あれ?糸針さんと菊地原さん!」
声変わりこそしてるものの、低く響き渡るというよりかは青年らしい穏やかな声。

「愛教、月陰、繰生…。偶然だな。どうしたんだ?」
「僕達はちょっと茶室でお茶を飲んでたんだ。茶道に興味があって…。」
「図書室で本を借りたのさ。…別に。僕は暇つぶしだけど。」
「これは心の平和という意味を持つクリソプレーズという宝石です。」
3人で茶室でお茶を嗜んでたようだった。なんとなく美尽さんはそういう類のものが上手そうだなぁと思う。

「2人は何をしてたの?」
「私達はこのたこ焼き器でロシアンたこ焼きなるものをやってみたくて…!」
「それでこれを置きにいってから皆に声をかけに回ろうと考えてたとこだな。」
楼さんが私の説明を引き継いでくれる。

「これは好奇心という意味を持つタイガーアイという宝石です。」
「ふふ、楽しそうだね。皆に伝えにいってみようか。」
「…やるなら、僕も伝えに行ってやってもいいけど。」
3人もどうやら賛成してくれてるらしい。生地の準備は私達がやる事にして、皆に声をかけるのは3人に任せる事にした。

育さんや无子さん、美尽さんの協力もあり、午前11時半、皆で厨房に向かう。どうやら今いる14人が参加してくれるようだった。
それぞれが好きな食材を選び出す。早く決まってさっさと出て行く人もいれば、うーんと唸りながら冷蔵庫とにらめっこする人もいた。

それから暫く時間が経ち、全員が食材を選び終わった。
電源を入れたたこ焼き器に、生地を流し込んでいく。とろっとした生地は自分で言うのもなんだが、中々上出来だ。(キャベツは楼さんも一緒に切ってくれた。ちょっと不揃いな千切りが彼らしい。)

そしてそれぞれの食材を皆で入れていく。
生地が少しずつ固まっていくのを見計らい、
くるくるくるくる
回していく。
これぞたこ焼き!といった丸みが可愛らしいし、何より楽しい。

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