(非)日常編
「いんちょーからオマエラに!またまた、一部の研究教室を開放したよ〜!確認してみてね〜!」
今日の昼、私はサラダを頬張りながらそんな放送を聞いた。
「あら…、また開放されたんですね〜!今度こそ私の研究教室が開放されてるといいのですが…。」
以前志々水さんの研究教室を訪れてから、私はそれ以外の方の研究教室には行けていない。また、私の研究教室の開放はまだなので、勿論自分の所にも行けていない。
「試しにお前の研究教室、行ってみるか?」
「えへへ、いいんですか〜?是非!行ってみましょう!」
楼さんのお誘いに(気を遣ってくれてるだけかもしれないが)私は嬉しくなり、急いで残りのトマトを口に入れた。
食べたお皿を片付けようと、厨房の方に向かう。此処では料理は出てくるものの、片付けは自分たちで行わなくてはならない。時々モノアピスが片付けてくれる日もあるが…。今日はいないようだった。
まぁ流石にモノアピスに押し付けるのは申し訳なく思ってしまうので、私は自分で洗うようにしている。が、厨房には先客がいた。
「…?緋巴銉ちゃんと楼くん♡偶然ですね♡」
「カルテさん!お皿洗い中…でしょうか?」
「はい♡うふふ、良ければお2人のも洗っちゃいましょうか?♡」
「いや…悪いし、俺たちは自分で…。」
「ついでですし…それ頂いちゃいますね♡」
カルテさんは私達の言葉など聞こえていなかったかのように、さっとお皿を取って泡の中に放り込んでしまった。
「てっきり研究教室に向かうのかと思ってましたが…違いましたか?♡」
「いえ、そうですけど〜…いいんですか?」
「だって昨日の準備は殆どお二人がして下さったでしょう?♡ 緋巴銉ちゃん、楼くんは気にせず行ってきて下さい♡」
「うう〜、ありがとうございます!」
「…それじゃお願いするか。ありがとな、看薬院。」
カルテさんは私の意思を汲み取って、ちゃん付けで呼んでくれる。どんな時だってちょっとした配慮を欠かさない、そんなカルテさんが大好きだった。
カルテさんに感謝しつつ、私達は2階へと向かう。
私の研究教室は念願叶って開いていた。
ドアノブを捻ると真っ先に目に入る艶やかなピンク色。志々水さんの研究教室とは全く違うデザインだ。
「すごく、糸針の研究教室、って感じがするな。」
「ふふ、そうですね〜!」
中には様々な国の人形についての本や、私が普段使っている人形作りの道具、素材などが沢山あった。以前支援を受けていた時と変わりない仕様。こんな環境がまた手に入るなんて夢みたい、と思った。
「みてください〜!此処を使って人形を作るのが楽しみです〜!」
「…お前はいつも楽しそうに未来の話をするな。」
「未来、ですか?」
「あぁ、未来だとか夢だとか。なにがしたい、っていう話が好きだなぁって。実際、あるんだろ?具体的なお前の夢が。」
そんな自覚はあまりなかったが、確かにそう言われてみると私はそんな話をするのが好きだと思う。
彼に夢を聞かれた時、私は自分でもビックリしてしまうくらいさらっと答えていた。
「私はね、もっともっと可愛いものを着て、女の子を楽しみたい。そして、全員の病気が治って欲しい。…そんな世界でまた、みなさんと仲良くしたいんです。ふふ、またパーティーやピクニックがしたいですね!」
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