(非)日常編
俺達はお腹が空いた、と食堂に戻ろうと歩き出した。
肩を並べて歩く。隣に愛教がいる。なんとなくくすぐったいような気分だけど、悪くはなかった。
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「あっ、楼くん!育くん!おかえりなさい!これからご飯?」
「蓮桜…それと御伽。そうだけど…、どうしたんだ?」
食堂でご飯を食べていたのか、蓮桜と御伽が腕を組みながら駆け寄ってくる。見る限り蓮桜が半ば強引に組んだのだろう。御伽は心なしか嬉しそうな顔をしているので問題ないだろうが。
蓮桜の横から俯きがちに御伽が言う。
「あの…考えたんですけど……もっと仲を深める為に…皆で劇をやりませんか?お客さんはいないですけど…。」
「劇?ふふ、楽しそうだね。ねぇ、楼くん?」
「あ?あぁ。いいんじゃねーの?」
「よかったです……ゴミみたいな考えだと否定されたらどうしようかと………。では、お昼を食べたら遊戯室に来てもらえますか?モノアピスに開放してもらったんです…。」
「わかった。すぐ向かおう。」
「遊戯室に行くのが楽しみだね。」
「僕達は先に向かってるよ!じゃあね!」
手を振る蓮桜は可愛かった。
可愛かった?
俺はどんな感情かと首を振った。
それから俺達は昼飯を済ませ、3階にある遊戯室へと向かった。
そこは小さな体育館のような場所で、つるつるとした床と小さな舞台が特徴的だった。
「ろろ、いーくんが来たねぇ。」
「これで全員揃ったな!」
祇園寺と相模が目線を此方に向けると、それぞれ喋っていた皆に全員が揃ったことを伝達する。
「待たせて悪かったな。」
「いえ……こちらこそ集まって頂いて…ありがとうございます…。」
御伽がペコリと頭を下げた。
「えっと……皆さんでやりたいのは白雪姫です…。これなら誰もが分かるかなぁと思いまして……。」
「あら白雪姫♡いいですね♡」
「うん、それなら皆わかるもんね…。」
「で、では、此処にくじがあるので…早速配役を決めましょう…。あ、るうは監督さんをやりますので…。」
ボックスへ次々と手を入れてくじを引いていく。
俺は最後の方にくじを引いた。丁寧に四つ折りにされた紙を開くと、そこには一文字。
「ふぅん、菊地原は鏡か。」
俺の手元を覗き込んだ仍仇がいう。
「仍仇はなんの役だったんだ?」
「…僕はおこりんぼ、と書いてあるな。…あまり嬉しい役ではないのか?」
仍仇は首を傾けた。
「仍仇さんは小人なんだね。ぼくもなんだ、よろしくね。」
愛教がニコニコと仍仇に声をかけると、仍仇も
「あぁ、よろしく。」
と返した。
「えーっと僕はハッピーって書いてあるな…、小人の役か!白雪姫じゃなかったなぁ!」
「白雪姫を引けたらラッキーガールですよね…!」
「男なら、アンラッキーボーイだな!」
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