ノアニールに潜む悪
ノアニール。エルフの呪いによって町のすべての住人が覚めない眠りに落ちている町。その昔、エルフの姫アンがノアニールの住人である人間の男と駆け落ちした。2人は本当に愛し合っていたが、エルフは一方的に人間がエルフの姫アンを騙したと決めつけた。駆け落ちを許すことをできないエルフの女王は、覚めることのない眠りの呪いをノアニールの住人にかけたのだ。呪いは地底湖の洞窟で心中してしまった2人の置手紙といっしょにエルフの宝、夢見るルビーが眠っている。この夢見るルビーと置手紙をエルフの女王に届けることで、エルフの呪いはとける・・・
軍隊ガニ鍋を締めの雑炊まで堪能した3人は、魔法使いのルーラでノアニールの町に一瞬で到着した。そこには住人たちが道端で眠り込んでいる異様な光景が広がっていた。3人は、魔法使い実家に、魔法使いの母が眠る家に入った。
「お母さん、ただいま・・・」
「お母様、はじめまして。商人です」
魔法使いの母親はベッドに寝かされていた。「ぐうぐう」と寝息を立てる母親は、親子だけあって魔法使いと顔立ちが似ている。魔法使いが成長したらこうなるだろうと思われる、美人さんだった。そして、横になっていてもわかる大きな胸が寝息に合わせて上下している。息苦しいのだろうか?胸の上下運動が乱れ始め、大きな胸が少しずつ下に移動し・・・お腹まで移動した大きな胸は上着の裾から、ひょっこり顔を出した。
「僕、悪いスライムじゃないよ。いじめないでくれよー」
ザク!
「僕は悪いスライムじゃないよー。毒針で刺さないでくれよー」
ひょっこり顔をだしたものは、青いゼリー状のモンスター、スライムだった。母親に体にまとわりついていたスライムが顔を出した瞬間に魔法使いが毒針を突き刺した!
「寝ているお母さんの体になにしているの!どう、見たって悪いスライムでしょ!お母さんの胸がこんなに大きいわけがないでしょう!娘の私が一番知っていますから、あたしのチンチクリンは遺伝なんですから!死んで詫びてもらいます!」
ザク!ザク!ザク!ザク!
「ぎゃー。瀕死のダメージです!ごめんなさいー。悪気はなかったんだよー。自分の欲望が抑えられなかったんだよー。なんでもするから、許してくださいー、ギャーまた刺したー」
たしかにスライムが離れた母親の胸はぺったんこだ。残念だが、魔法使いの胸は遺伝的な特徴と言わざるを得ないだろう。そして、残念なことに今後の発展も見込めないということになる。いや、これはこれでいいのではないか。ぺったんこを恥じる魔法使いも、良いと思います!
魔法使いは怒り我を忘れて、スライムを毒針で刺し続けた。眠っている女性に対する悪魔の所業。魔王バラモスも可愛く見えるほどの明確な悪。しかし、この世界で初めて出会った会話できるモンスター、こいつは使えるかもしれない。今殺すか、後で殺すかの小さな差でしかないのだから、
「魔法使い、スライムも反省しているようだ。一生奴隷として働くと言っているのだから、この場で殺すこともないだろう」
「あ、あの、僕、反省していますが、一生奴隷として働くまでは言っていませんよー」
「なるほど、簡単に死を与えて解放する必要はないということですか。一理あります・・・いいでしょう。今、ここで死ねなかったことを後悔するような、苦痛に満ちた日々をお前に与えることを誓います」
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