ハーメルン
【本編完結】とあるTS女死神のオサレとは程遠い日記
五ページ目
□月●日 雨
兄貴が隠密機動第三分隊“檻理隊”の分隊長になって一ヶ月くらい経った。
砕蜂の兄貴へのディスりが日増しに酷くなる。どうやら、夜一様が一番彼に信頼を寄せているのが気に入らないらしい。
とはいえ、身内の贔屓を除いても彼は有能だ。なんで私が彼の妹なのにこんなに無能なのかわからないくらい。
まぁ、確かに真面目なタイプではない。天才肌でクセが強く、研究者気質であるためマイペースなのは否めない。でも、悔しいかな……彼は与えられた仕事を100%こなした上で自由を謳歌してるのだ。ていうか、夜一様とて真面目なタイプじゃないんだから、あの二人が気が合うのは当然なんだよなぁ。
「陽葵さんは身内なのですから、浦原第三席の怠惰な態度を矯正する義務があります!」
んなこと言われても、私の方が兄貴の世話になってる手前、何も言えないんだよね。真面目な無能がここにいるし。
兄貴が隊長に推薦などされたらもっと怒るんだろうなぁ。
そんな砕蜂と私が最近ハマってるのが“夜一様
遊戯
(
ゲーム
)
”である。
賽子
(
サイコロ
)
を二つ振って丁半で夜一様役を決めて、出た目の数に応じて二人で考えた台詞を夜一様になりきって言うのだ。
私が考案者なだけあって、バカバカしいゲームなんだけど、これがやってみたら中々の破壊力で、私なんて普段から視覚を封じたりしてるから砕蜂の結構上手い声真似でイケたりする。
彼女も彼女で私が夜一様の真似をすると割と興奮してくれた。まぁこんなの誰かに見られたら発狂モンなんだけど……。
んで、昨日それで酔っ払いながら盛り上がり過ぎて気付いたらお互いの唇を重ねてた。つまり接吻してたってこと……。「儂と愛し合ってはくれんか?」とか絶対に言わないセリフとか調子に乗って書いたりしたのがいけなかったか……。
それからお互いに気まずい……。こ、これはゲームの延長上ってことでノーカンでいいよね……?
▽月♧日 晴れ
今日は夜一様がいい加減に瞬歩が出来ない私に痺れを切らしたのか、直々に指導してくれると言ってくれた。“瞬神”という二つ名を持つ夜一様直伝で瞬歩を学べるのだ。光栄な話である。
よく考えたら、10歳になる前くらいのときから練習して出来ないって私のセンスの無さは筋金入りだと思う。
ちなみに兄貴はとっくにさじを投げていた。「そんなことより霊圧のコントロールが先っスから」とか言って。それもリストバンドの補助があってやっとだからなー。
つーか、本当に難しいんだよ。瞬歩って……。隊長格は当たり前みたいに使ってるけど……。繊細な霊力と重心の移動が必須となるこの歩法はデリケートなどとは程遠い私に圧倒的に不向きな技術だった。
それはいいとして、久しぶりに夜一様と二人っきりと意気込んでいたら、知らない屋敷に連れてこられる。
どこなのかと質問すると、“朽木家の本家”の屋敷だと彼女は答えた。朽木家っていうのは、あのルキアとか白哉とか居た四楓院家と同様に五大貴族で超名門だ。
現在の護廷十三隊にも六番隊の隊長である朽木家の当主・朽木銀嶺さんや副隊長で銀嶺さんの息子である朽木蒼純さんがいる。んで、本家なので当然この二人とも会うこととなった。
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