第十八話 怪しい二人
それからしばらく探索を続け、何度鼠凶魔と戦ったか数えるのも面倒になってきた頃。
「どうやらここが発生源みたいね」
俺達は一つの牢に辿り着いた。そこは牢獄の中でも最奥に近い場所。牢獄の入り口のほぼ真反対側に位置する牢だった。ヒト種以外、それも巨人種等の大きな種族用の特注の牢。普通の牢の数倍の広さを有し、もはやちょっとした広場とも言えるその奥に鼠凶魔の発生源はあった。……いや、居たと言うべきか。
「何だ? あれ?」
そこの壁際に一人の巨人種の男が倒れていた。粗末な布の服とズボンのみの服装だが、身長は少なく見積もって二メートル半ば。肩幅もがっしりしていて、小山のようなという言葉がよく似合う。
これでも巨人種の中では小柄な部類だというから驚きだ。イザスタさんが言うには、以前仕事中に見た巨人種は自分の軽く倍くらいの背があったという。長身のイザスタさんのさらに倍って、巨人種どれだけでかいんだよ。……羨ましくなんかないぞ。
だが問題はそこじゃない。問題なのは、その倒れている男の腹の辺りから、鼠凶魔が次々と湧き出している点だ。
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