3.
「俺は、俺は、俺は、俺は! 俺は、だめだ、ああ、いや、うう、くそ、だめだ、なんてことを、おれは、ああ、ああ、なんで、どうして、いやだ、ああ、ああっ!」
「俺は、何てことを! 俺は、どうして、どうして! 俺は食べてしまった! 俺は! ミツバを! コテツを! ツメトギを! 食べた! 俺は! 俺は! ああああああああああああああっ、いやだどうしてなんでああああ」
地面を殴りつけた。何度も、何度も。
主人を原型が無くなるまで奴等の前で殴りつけた蹴りつけた。スリーパーは消し炭にした。カクレオンは舌を引き千切って首をへし折った。ボスゴドラはその装甲をどろどろにしてそして動けなく固めてやった上で叩き壊した。
この町の人間は皆殺しにした。人間のポケモンも全員ぶち殺した。逃げようとする奴等も全員全員どうせ俺達を食っていたんだろう! バラバラバラバラと空からヘリコプターがやってきていた。あの忌まわしいスリーパーのせいで知識がついてしまった。
「ごめんごめんごめんごめんごめんいやだごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいああ、ああ、ああ、ああ、ごめんなさいごめんなさい」
全部名前が分かる。全部分かる。俺が食べたのがワカシャモというポケモン。俺はバシャーモ。ワカシャモを美味しく食べたバシャーモ!
「俺は、俺は、穢れてしまった。俺は俺は! 俺は!」
死にたいでも死にたくない死にたいでもああああ。
「俺はどうしたら! どうしたらいいんだ! おれは! おれは!」
ババババとヘリコプターが近付いて来る。うるさいうるさいうるさいうるさい!
跳んで、腕から炎を噴き出した。全部、燃えた、全部溶けた、落ちていく。悲鳴が聞こえた。一番今までで強い炎だった。力がみなぎっていた。それはそれは!
もう、何も聞きたくないもう何も見たくない。もうもうもうもうああああああああああああああああ。
「俺は俺はどうしたらいいんだおれはおれはごめんなさいごめんごめんごめんごめん」
おれはおれはおれはおれはああああああ。
そうだそうだ死ぬしかないよなそれしかないよなでも死にたくないでも死ぬしかないよな食べたのだもの俺は食べてしまったのだから俺は俺は俺は俺は。
俺は駄目だ俺は俺は駄目だ食ってしまった殺してしまった俺は、大切だった皆を、この手で、切り裂いて、殺して、食べた。食べた、食べた! 食べた!! ああああああああああああああああああああ、ああああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!
食べてしまった!
俺は俺は。
「死ぬしかない……」
ここまで来る途中に、池があったのを思い出す。
……そこで、死のう。
俺はもう、生きてなんかいられない。
俺は、俺は、駄目なんだから。俺は、俺は。
立ち上がる。もう、俺は、何もしたくないなにも何も。
歩きたくもない。走りたくもない考えたくもない俺は俺は。
「ごめん……ごめん……お兄ちゃん、お兄ちゃんは……」
ふらふら、と森の中まで戻って来た。忌々しい洗脳された自分の記憶が蘇る。忌々しい自分が忌々しい。さっさと死にたいもう何もしたくない。
ぼちゃん、と水の中に入る。
暗い、暗い、水の中。冷たくて、苦しくて、息が、詰まって行く。
ああ、ああ、俺は、俺は、なんでこんな事になったんだ。
なんでなんで。
どうして。
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