ハーメルン
雛森「シロちゃんに『雛森ィィィィ!』と叫ばせたいだけの人生だった…」
新隊ィィィン!


「君の始解と卍解は純粋な暴力を体現する。獣的本能に生きる虚に取っては最もわかりやすい上下関係だ」

「…ウチの飛梅は可愛くていい子です」

「この六年間で卍解へと至り並の護廷隊隊長の霊圧を大きく上回った今、虚圏に君の敵はない。好きにやりたまえ」

 平然とあたしの相棒をdisりつつ大虚集めはお前のほうが適任だとか、貶してるのか褒めてるのかよくわからないことを言ってくるヨン様。
 何て言うか、指示の適当さからどうでもよさそうな感情をひしひしと感じる。これあれですね、最初から使い捨ての駒としか破面(アランカル)たちのこと見てませんね。あたしの「雛森ィィィィ!」ポジの理想像ハリベルさんは隊長格三人同時にほぼ無傷で相手しながらあなたの斬撃に二回も耐えて反撃までする中上位隊長クラスになるんですけど…

「ふむ、折角だ。こうして初めて我ら四人が揃ったことを記念して──先達の皆で新たな同胞の働きを視察するとしよう」

「えっ?」

 あの褐色おっぱいについて思考を飛ばしていたら、突然横からとんでもない無茶振りが飛んできた。
 咄嗟に振り向くも前後から一○とDJの賛同する相槌が聞こえ退路が塞がれる。おいお前ら横暴だぞ、明らかな新人いじめじゃないか。そういうのは黒棺ネタで間に合ってますって!

「任務の初視察やし、あの大虚のお偉いさんがええんとちゃいます?」

「ああ、アイツか。確かに能力と霊圧差で相性もいい。如何でしょう、藍染様」

「そうだね、彼なら桃が失敗することもないだろう」

 当事者抜きでどんどん決まっていくあたしの殺伐たる"はじめてのおつかい"。おい待て一○さっきなんか凄い不穏な単語が聞こえたぞ。アイツか? あのチートをあたしが屈服させろってか? いくら破面化前の弱い最上級大虚(ヴァストローデ)時代とはいえ能力の本質は同じなんですけど!?

 反対しようにも大人陣は既にその気満々。古参の東仙なんかヨン様の愉悦を目敏く見抜きダッシュで子飼いの虚に黒腔(ガルガンタ)を開けるよう指示しに出て行きやがった。コイツらまさか最初からあたしで遊ぶために集まったんじゃないだろうな…

 仕方がない。新人弄りは組織の通過儀礼だ。ならこちらは別の利益を確保するとしよう。

 思えばこの三人以外の強者との初めての、それも明確な敵との対決だ。ヨン様たちには決して使えない、鰤ファン転生者最大の強みである──【オサレポイントバトル】の知識をフル活用して戦ってみよう。
 ふふふ、ただの新人と舐めないでくださいね。あたしはあなたの知らないこの世界の真理について実験をさせてもらいます。

 そう意を決したあたしの前に、いつもの黒い異界の門が現れた。


「では行こうか、要、ギン、桃。神を名乗る虚の玉座…」


 ──虚夜宮(ラスノーチェス)へ。

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